尊敬語としての受身形:相手の行動を丁寧に表すときの使い方

目次
1. 尊敬語としての受身形
2. 受身形と尊敬語の作り方
3. 受身形の使い方
4. 尊敬語の使い方
5. 特別な動詞の尊敬語
6. 比べてみよう
7. まとめ
8. 関連記事
9. コメント
Q:「社長は取引先の会長と会われました」のように、“〜れる”という受身形がどうして敬語として使われるんですか?
A:受身形と尊敬語は、実は同じ活用ルールで作られます。そのため、見た目は同じでも、「受け身」なのか「敬意を表す尊敬語」なのかは、文脈や相手との関係などの状況から判断する必要があります。
受身形と尊敬語の作り方
| グループ | 動詞の種類 | 活用のルール | 例 |
|---|---|---|---|
| グループ 1 | 五段動詞 | 語尾の[u]を[a]に変えて「れる」をつける | 聞く → 聞かれる 飲む → 飲まれる |
| 語尾が「う」の場合 | 「わ + れる」をつける | 会う → 会われる | |
| グループ 2 | 一段動詞(る動詞) | 語幹に「られる」をつける | 食べる → 食べられる 見る → 見られる |
| グループ 3 | 不規則動詞 | 活用をそのまま覚える | 来る → 来られる する → される |
受身形の使い方
受身形には、以下の4つの使い方があります。基本的には、「話し手が他者から何らかの行為を受けたこと」を表します。
① 行為の受け手を表す一般的な受身
[例] 知らない人に道を聞かれました。
② 主語に意志がないものを使う「非常の受身」
[例] この建物は100年以上前に建てられました。
③ 話し手が所有する物などが行為を受ける「持ち主の受身」
[例] 財布が盗まれました。
④ 話し手が迷惑をこうむる「被害の受身」
[例] 夜遅くまで騒がれて、とても迷惑です。

受身形について詳しく知りたい方は
この記事を読んでください。
尊敬語の使い方
「尊敬語」は敬語の一種で、目上の人や話題の主(=動作の主体)に対して敬意を示す表現です。
相手の行為や状態を丁寧に表し、その立場を高める目的で使われます。
[例]
部長は、先ほど帰られました。
The department manager went home a little while ago.
マネージャーはお客様に会われています。
The manager is meeting with a client.
社長の奥様が作られたクッキーはおいしいです。
The cookies made by the company president’s wife are delicious.

詳しくは「敬語の基本①」を
ご覧ください。
特別な動詞の尊敬語
一部の動詞には、受身形とは異なる特別な尊敬語の形があります。 これらは、目上の人や話題の主の行動や状態を、より丁寧に・敬意をもって表現するために使われます。
[基本動詞とその尊敬語]
| 普通形 | 尊敬語 |
|---|---|
| 行く・来る・いる | いらっしゃいます |
| 食べる・飲む | 召し上がります |
| 言う | おっしゃいます |
| 知っている | ご存じです |
| 見る | ご覧になります |
| する | なさいます |
| くれる | くださいます |
[例]
社長は今、どちらにいらっしゃいますか。
Where is the company president now?
部長はお酒を召し上がりますか。
Does the department manager drink alcohol?
本日の新聞をご覧になりましたか。
Have you read today’s newspaper?
昼食は何になさいますか。
What would you like for lunch?
比べてみよう
次の文は「受身形」か「尊敬語」かを考えてみましょう。
[例]
① 社長は急に休まれました。
② 急にアルバイトに休まれました。
① 先生は長い時間、話されました。
② 先生に長い時間、話されました。
[正解と解説]
①はどちらも尊敬語
「社長」「先生」のように目上の人や話題の主の動作・状態を丁寧に表しています。格助詞は「は」や「が」を使うのが特徴です。
②はどちらも受身形
「アルバイトに休まれた」「先生に話された」のように、話し手が他者の行動を受けて影響を受けたことを表しています。ここでは「に」が使われているのがポイントです。
[ポイント]
・尊敬語は、目上の人の行動を丁寧に述べるときに使います。
⇒ 主語には「は」「が」を使うことが多いです。
・受身形は、話し手が他者の行動の影響を受けたときに使います。
⇒ 相手を示すときは「に」を使います。
同じ「~れる/~られる」の形でも、助詞の使い方や文脈によって意味が大きく変わるので注意しましょう。
まとめ
- 受身形と尊敬語は同じ活用ルールを持つが、意味と使い方は異なる。
- 受身形には4つの用法がある:① 一般の受身 ② 非常の受身 ③ 持ち主の受身 ④ 被害の受身
- 尊敬語は、目上の人や話題の主の動作・状態に敬意を表し、相手の行為を丁寧に示すときに使う。
- 文型の違いに注意
尊敬語:目上の人や話題の主の動作・状態を表すため、「は」や「が」を使う。
受身形:話し手が誰かから行為を受けたことを表すため、「に」を使う。 - 同じ「〜れる/〜られる」の形でも、文脈や助詞の使い方によって意味が大きく変わる。使い分けには注意が必要。
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