ビジネス日本語 – 敬語の基本①:尊敬語・謙譲語・丁寧語・美化語

目次
1. 尊敬語・謙譲語・丁寧語・美化語
2. 敬語の種類
3. 役割
4. 謙譲語が2つに分けられた理由
5. まとめ
6.関連記事
7. コメント
Q: 日本ではどうして敬語を使うのですか?種類もいくつかあるみたいなので、まずは基本を理解したいです。
A: 日本には昔、その目上・目下というはっきりとした身分制度があったからです。元々は尊敬語だけが使われていましたが、やがてそれだけでは足りなくなり謙譲語も生まれました。この記事では、敬語の基本を説明します。
敬語の種類
敬語は大きく分けると【①尊敬語 ②謙譲語 ③丁寧語】の3つ、さらに【①尊敬語 ②謙譲語Ⅰ ③謙譲語Ⅱ(丁重語)④丁寧語 ⑤美化語】の5つに分類されます。

役割
それぞれの役割を簡単に説明します。
[尊敬語]
目上の人や話題の主の動作や状態を敬う気持ちを表します。
ポイントは、相手の行為を高めるという点です。
[例]
社長は先ほど帰られました。
The president left earlier.
マネージャーはお客様とお話しされています。
The manager is talking with the customer.
[謙譲語 Ⅰ・Ⅱ]
自分の動作や状態をへりくだって相手に敬意を表します。
ポイントは、自分の行為を低くして相手を持ち上げるという点です。
[例]
明日15時に御社へ参ります。
I will visit your company at 3 PM tomorrow.
私は事務所におります。
I am in the office.
[丁寧語]
「~ます」や「~です」を使い、相手に丁寧な印象を与えます。
尊敬語との違いは目上や動作主に関連していないこと、謙譲語との違いは自分の動作をへりくだっていないことで、丁寧語は動作主が誰であっても使うことができます。
[例]
わたしは学校で勉強します。
I study at school.
ワンさんは来月、国へ帰ります。
Mr. Wang will return to his country next month.
明日は晴れですよ。
It will be sunny tomorrow.
[美化語]
「お」または「ご」を使って、物事や言葉を美しく表現するために使い、直接的に物事を言い表すよりも柔らかく丁寧な印象を与えます。これには特定の相手を敬うという目的はありません。
[例]
きのう、お寿司を食べました。
Yesterday, I ate sushi.
すみませんが、ご連絡いただけますか。
Excuse me, but could you please contact me?
謙譲語が2つに分けられた理由
謙譲語は元々、自分をへりくだることで相手に敬意を示す語法です。しかし、その用法には明確な違いがあるため、2つに分類されました。この区別により、日本語の敬語文化がさらに繊細かつ柔軟に対応できるようになっています。
[相手を高めるための 謙譲語Ⅰ]
自分をへりくだることで、相手を立て、敬意を表す表現。
相手の立場や行動を尊重し、それを際立たせる目的で使われます。
[目的]
相手を立て、相手への敬意を強調する
[使い方]
相手がいる状況や、相手に対して何かをする場合に使われる
[例]
「伺う」:行く → 相手に向かう際の敬意を表現。
「申し上げる」:言う → 相手に伝える行為をへりくだり、敬意を示す。
「差し上げる」:与える → 相手に物を贈る行為を敬意とともに述べる。
[自分の動作を丁重に述べる 謙譲語Ⅱ(丁重語)]
相手を高めるというよりも、自分の行為や存在を控えめかつ丁重に述べる表現。
相手を特定せずに、奥ゆかしさや慎ましさを表現する目的で使われます。
[目的]
自分の行為を控えめに述べる
相手を特定しない
[使い方]
話し手が自分の動作を述べる際に、丁寧な印象を与える場合に使われる
[例]
「参る」:行く・来る → 自分がどこかへ移動することを控えめに述べる。
「申す」:言う → 自分の発言を丁重に表現。
「いたす」:する → 自分の行動を控えめに述べる。
まとめ
- 敬語の種類は3つ【①尊敬語 ②謙譲語 ③丁寧語】、または5つ【①尊敬語 ②謙譲語Ⅰ ③謙譲語Ⅱ(丁重語)④丁寧語 ⑤美化語】に分類される。
- 尊敬語は目上の人や話題の主の動作や状態を高め、相手へ敬意を示す。
- 謙譲語(Ⅰ・Ⅱ)は自分の動作や状態をへりくだって相手に敬意を示す。
- 丁寧語は「~ます」や「~です」を使い、相手に丁寧な印象を与える。尊敬語と謙譲語と動作主が誰であっても使うことができる。
- 美化語は「お」または「ご」を使って、物事や言葉を美しく表現する。直接的に物事を言い表すよりも柔らかく丁寧な印象を与え、特定の相手を敬うという目的はない。