JLPT N4文法 – 受身形・使役形・使役受身形の使い方完全ガイド①

目次
1. 受身形・使役形・使役受身形の使い分け
2. 受身形の種類
3. ①受身形
4. ②非情の受身
5. ③持ち主の受身
6. ④被害の受身
7. まとめ
8. 関連記事
9. コメント
Q: 受身形・使役形・使役受身形がいつまで経ってもよく理解できません。
A: 受身形・使役形・使役受身形は、日本語学習者にとって複雑な文法のひとつです。
まず、ここでは様々な意味をもつ受身形について説明をしていきます。
受身形の種類
まずは、それぞれの使い方の全体像を見ていきましょう。
種類 | 使い方 | 例文 |
① 受身形 | 人からある行為を受けることを表す | 友達に呼ばれました。 先生から注意されました。 |
② 非情の受身 | ある行為の対象(もの)を主語にして、社会的なことを公に知らせるときに使う | 試験は毎年12月に行われます。 オリンピックは4年ごとに開催されます。 この曲は世界中で聞かれています。 |
③ 持ち主の受身 | 話し手に関わるもの(身体や所有物など)が、ある人から謝辞、迷惑や被害などの行為を受けたことを表す | 弟に足を踏まれました。 子供にタブレットを壊されました。 先生に字を褒められて、うれしかったです。 |
④ 被害の受身 | 話し手が自分で行動を起こしたわけではないのに、他の人の行為やあるできごとによって、被害を受けたり迷惑を感じたりするときに使う | となりに高いビルを建てられて、日が入らなくなりました。 どろぼうに入られて、貴金属を盗まれました。 |
①受身形
話し手が人から行為を受けることを表します。
日本語では「友達はわたしを呼びました」と言うと、話し手が行為の対象として受動的にいる印象はなく、単なる事実を伝える表現になります。
一方、「わたしは友達に呼ばれました」と受身形で言うと、行為を受けた話し手に焦点が当たり、経験や出来事として描写する表現になります。
行為をするのが人の場合は助詞「に」を使い、会社や学校などの団体・組織の場合は助詞「から」を使います。
[例]
子供のころ、祖父母に育てられました。
When I was a child, I was raised by my grandparents.
虫歯ができて、母に病院に連れていかれました。
I got a cavity, so my mother took me to the hospital.
会社から、会社の近くでたばこを吸わないように注意されました。
At the company, I was warned not to smoke near the office.
②非情の受身
ある行為の対象(もの)を主語にして、一般的に認知されていることや社会的な事実を述べるときに使います。
この用法では、他の受身形とは異なり、話し手の感情的な意味を含みません。
行為をする人が不特定の場合は助詞「に」を使い、特定の人や会社・学校などの団体・組織の場合は助詞「によって」を使います。
[例]
試験は朝10時から行われます。
The exam will be held at 10 a.m.
このアプリは若い人によく使われています。
This app is often used by young people.
この物語は多くの人に読まれています。
This story is read by many people.
この電気自動車は、日本の会社によって開発されたそうです。
This electric car was apparently developed by a Japanese company.
③持ち主の受身
主に、話し手の身体の一部や「服・かばん・めがね」などの所有物が被害や迷惑を受けたことを表します。
また、具体的なものだけでなく、心理的に話し手に近い「話」などにも使うことができます。さらに、相手からの謝辞を受けた場合にもこの形を使うことがあります。
「誰かがわたしの足を踏みました」と言うと、事実を直接的に述べるだけになりますが、「わたしは足を踏まれました」と言うことで、話し手が不快に感じたことも伝わります。
つまり、この受身形には、話し手の不快感や迷惑だという気持ちも込められます。
[例]
電車でハイヒールを履いた人に、足を踏まれました。
On the train, someone wearing high heels stepped on my foot.
泥まみれで帰ってきた子供に、玄関を汚されました。
My child came home covered in mud and got the entranceway dirty.
どうも誰かに話を聞かれてしまったようです。
It seems that someone overheard my conversation.
職場の人に日本語を褒められて、とても嬉しかったです。
My Japanese was praised by someone at work, and I was very happy about it.
④被害の受身
話し手が自分で行動を起こしたわけではないのに、他の人の行為やあるできごとによって、被害を受けたり迷惑を感じたりするときに使います。
[例]
テレビを見ていたのに、急に母に消されました。
I was watching TV, but my mother suddenly turned it off.
京都の町にごみを捨てられて、住民はとても困っているそうです。
It seems that the residents of Kyoto are very troubled because garbage has been dumped in their town.
隣の人に夜遅くまで音楽を流されて、寝られませんでした。
My neighbor played music late into the night, and I couldn’t sleep.
まとめ
受身形の主な使い方は4つ
- ① 受身形
話し手が人から行為を受けることを表す。
日本語では、行為を受けた話し手を中心にして、受身形を使って経験や出来事を描写することが多い。 - ② 非情の受身
ある行為の対象(もの)を主語にして、一般的な認知や社会的な事実を述べるときに使う。
感情的な意味は含まれない。 - ③ 持ち主の受身
話し手の身体の一部や所有物に被害や迷惑を受けたこと、または相手から謝辞を受けたことを表す。
この受身形には、話し手が不快に感じた気持ちも含まれ、聞き手にもその不快さが伝わる。 - ④ 被害の受身
話し手が自分で行動を起こしたわけではないのに、他の人の行為やできごとによって被害を受けたり、迷惑だと感じたりするときに使う。
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