ビジネス日本語 – 「予想・予測」「推量・推定」の違い
目次
1. 「予想・予測」「推量・推定」の違い
2. 予想 VS 予測
3. 推量 VS 推定
4. まとめ
5. クイズ
6. 関連記事
7. コメント
Q: ビジネスシーンでよく見かける「予想・予測」と「推量・推定」の違いをそれぞれ教えてください。
A: 主観的か客観的かによる使い分けが可能です。それぞれ見てみましょう。
予想 VS 予測
まずは「予想・予測」から意味と使い方を見ていきましょう。この2つは似た意味を持っていて使い分けが少し難しいかもしれません。
しかし大まかに分けるとしたら「予想」は「主観的」で、「予測」は「客観的」という違いがあります。
「予想」は、個人や集団によって考えられた将来についての予測や見解を指します。直感的なものや話し手の経験に基づいたものでも問題ありません。
[例]
わたしの予想では、このプロジェクトは成功すると信じています。
I believe that, according to my expectations, this project will be successful.
プロジェクトの計画は予想通りには進みませんでした。
The project’s plan did not proceed as expected.
⇒ 予想ではもっと早く、またはうまく進むと思っていたのにそうではありませんでした。
この言葉は「以上・以下」「より(も)」と一緒に使われることが多いです。
この場合、話し手が結果とは反対のことを予測または期待していたことを表します。
[例]
(もっと遅いと思っていたのに)予想以上に仕事が早くできました。
(I thought it would take longer, but) the work was completed faster than expected.
(いい結果を期待していたのに)予想以下の結果でした。
(I was expecting good results, but) the outcome was below expectations.
(そんなにうまく行かないと思っていたのに)A社との企画は予想よりもうまくいきそうです。
(I didn’t think it would go so well, but) the project with Company A seems likely to succeed beyond expectations.
また、ある物事の変化や結果について、データや証拠による根拠から事前に推量する場合にも使われます。
[例]
今後、株価は上がると予想されています。
It is predicted that stock prices will rise in the future.
⇒ 「株価」は変化するものであり、データなどからその結果を述べています。
明日は高速道路が非常に混雑すると予想されています。
It is anticipated that highways will be extremely congested tomorrow.
⇒ 「混雑具合」は変化するものであり、現状や過去のデータからどのようになるかを述べています。
一方、「予測」はデータや証拠など、ある程度信頼性の高い根拠に基づいて、事前に予測や推量を行うことを指します。
その根拠となるのは「データ」や「科学的・統計的」な情報であることが多いです。
そのため、「予想」に比べて客観性が高く、一定の根拠に基づいた推量といえます。
[例]
お客様の動向を予測するために、過去のデータを分析することにしました。
We decided to analyze past data to predict customer trends.
気象庁によると、明日はかなりの雨が降ると予測されています。
According to the meteorological agency, significant rainfall is expected tomorrow.
推量 VS 推定
次に「推量」と「推定」について説明します。
この2つの言葉には、「推量」は「主観的」、「推定」は「客観的」という違いがあります。
まず、「推量」は主観的な直感や経験に基づいて、まだ起こっていないことや分からないことを何となく判断・予想することを表します。これには具体的な根拠や証拠がほとんどありません。
また、話し手が相手の表情から気持ちや考えを読み取って予想する場合にもよく使われます。
[例]
次の企画の成功を推量するには、データが少なすぎます。
There is too little data to speculate on the success of the next project.
それはあなたの勝手な推量ですよね。もっとしっかり考えてから意見してください。
That’s just your arbitrary speculation, isn’t it? Please think more carefully before giving your opinion.
社長の表情から推量するに、冬のボーナスは減りそうです。
Judging from the president’s expression, it seems likely that the winter bonus will be reduced.
一方、「推定」は「推量」とは異なり、客観的な事実や資料に基づいて、はっきりと分からないことについて根拠をもとに結論を導き出すことを指します。
[例]
彼の年収は推定で2000万円ぐらいと言われています。
His annual income is estimated to be around 20 million yen.
⇒ 彼の仕事内容やその職業に基づいて年収が推測されています。
今回の地震でおよそ1000人が亡くなったと推定されています。
It is estimated that approximately 1,000 people died in this earthquake.
⇒ 亡くなった人数は正確には分かりませんが、データをもとにある程度の人数が算出されています。
まとめ
[予想 VS 予測]
- 「予想」は、主観的に考えられた将来の予測や見解を指す。また、物事の変化や結果について、データや証拠に基づいて推測される場合にも使われる。
- 「予測」は、「予想」よりも客観性が高く、データや証拠を根拠に事前に推定する際に用いられる。
[推量 VS 推定]
- 「推量」は、主観的な直感や経験に基づき、具体的な根拠や証拠がない判断や予想を表す。また、相手の表情から気持ちや意図を推測する場合にも使われる。
- 「推定」は、客観的な事実や資料に基づき、明確には分からないことを根拠に結論を導き出す際に使われる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 予想
ビルの完成に予想以上の時間が掛かりました。
The completion of the building took longer than expected.
*もっと早くできると思っていたという見解なので「予想」がふさわしいです。
A. 予測
今年度の営業の成績を予測するために、過去3年間のデータを分析しました。
To forecast this fiscal year’s sales performance, the data from the past three years was analyzed.
*データを分析して明確にしようとしているので「予測」がふさわしいです。
A. 推定
この町の人口はどんどん減ると推定されています。
The population of this town is estimated to decrease steadily.
*人口を分析するには客観的データが必要になるので「推定」がふさわしいです。
A. 推量
個人的な推量ですが、これからの展開はおもしろくなりそうですね。
This is just personal speculation, but the future developments seem like they will be interesting.
*「個人的な」という言葉から「推量」がふさわしいです。