JLPT N5文法 – 名詞節「の」と「こと」の違い

目次
1. 名詞節「の」と「こと」の違い
2. 名詞節「の」と「こと」
3. 「の」しか使えない文型
4. 「こと」しか使えない文型
5.「の」と「こと」の使い分け
6. まとめ
7. クイズ
8. 関連記事
9. コメント
Q:「アニメを見るのが好き」と「アニメを見ることが好き」は、どう違いますか?
A: 「の」と「こと」は、どちらも動詞を名詞のようにするときに使います。
「アニメを見るのが好き」と「アニメを見ることが好き」は、意味はほとんど同じです。
ただし、ほかの文では置き換えができないこともあります。
詳しく見ていきましょう。
名詞節「の」と「こと」
名詞節とは、文の中で名詞のように使われる部分のことです。
日本語では、動詞や形容詞に「の」や「こと」をつけて、名詞のように使うことがあります。
[ルール]
[V] 動詞+の/こと
[A] い形容詞+の/こと
[Na] な形容詞+の/こと
次のような場合はこの2つを置き換えて使うことができます。
カジュアルな場面や話し言葉としては「の」のほうがよく使われます。
①「は」と「が」を使って嗜好・能力を表す場合
[例]
わたしはケーキを作るのが好きです。
わたしはケーキを作ることが好きです。
I like making cakes.
弟は字を書くのが下手です。
弟は字を書くことが下手です。
My younger brother is bad at writing.
② 動作に関する感想や評価を表す場合
[例]
絵をかくのは楽しいです。
絵をかくことは楽しいです。
Drawing pictures is fun.
いろいろな文化を知るのはおもしろいです。
いろいろな文化を知ることはおもしろいです。
Learning about different cultures is interesting.
③ 名詞節を話題にして説明する場合
[例]
大切なのは嘘をつかないことです。
大切なことは嘘をつかないことです。
What is important is not to lie.
日本語の勉強で一番難しいのは漢字です。
日本語の勉強で一番難しいことは漢字です。
The most difficult part of studying Japanese is kanji.
今、問題なのは、このことを誰も知らなかったということです。
今、問題なことは、このことを誰も知らなかったということです。
The issue now is that no one knew.
「の」しか使えない文型
① 文末が「のです/のだ/のである」の場合
この「の」は、名詞節を作る「の」ではなく、文に説明や強調のニュアンスを加える働きをしています。
そのため、「こと」に置き換えることはできません。
[例]
彼はようやくそこへ行ったのです。彼はようやくそこへ行ったことです。
He finally went there.
子どもたちにとってそれで良かったのだ。子どもたちにとってそれで良かったことだ。
It was good for the children.
彼女はこのように言ったのである。彼女はこのように言ったことである。
She said it this way.
②「見る」「聞く」など、知覚を表す動詞と一緒に使う場合
[例]
彼が外で走っているのを見ました。彼が外で走っていることを見ました。
I saw him running outside.
誰かが大きな声で歌っているのを聞きました。誰かが大きな声で歌っていることを聞きました。
I heard someone singing loudly.
③ 具体的な動作に直接関わる動詞と使う場合
「待つ」「止める」「手伝う」などの動詞は、実際の動作や出来事に直接関わるため、「の」を使うのが自然です。
[例]
彼がくるのを待ちます。 彼がくることを待ちます。
I will wait for him to come.
子どもが家から出ていくのを止めました。子どもが家から出ていくことを止めました。
I stopped the child from leaving the house.
おばあさんの荷物を持つのを手伝いました。おばあさんの荷物を持つことを手伝いました。
I helped the elderly woman carry her luggage.
④ 「〜のは〜です」の形で説明・強調するとき
この形では、「の」を使って前の文全体を名詞のようにし、その内容を説明したり強調したりします。
この場合、「こと」に置き換えることはできません。
[例]
わたしが生まれたのは3月です。わたしが生まれたことは3月です。
I was born in March.
主人と初めて会ったのは高校生のときです。 主人と初めて会ったことは高校生のときです。
The first time I met my husband was when I was in high school.
働いているのはお金がほしいからです。働いていることはお金がほしいからです。
The reason I work is because I want money.
「こと」しか使えない文型
「こと」は、本来「事柄」や「内容」を表します。
そのため、経験・能力・決定・ルールなどを表す文型では、「こと」を使います。
① た形+ことがある/ない(経験)
[例]
わたしはカナダへ行ったことがあります。わたしはカナダへ行ったのがあります。
I have been to Canada.
わたしは富士山を見たことがありません。わたしは富士山を見たのがありません。
I have been to Canada. I have never seen Mount Fuji.
② 辞書形+ことができる(可能)
[例]
わたしは日本語を話すことができます。わたしは日本語を話すのができます。
I can speak Japanese.
③ 辞書形+ことにする/ことになる(決定・決まり)
[例]
明日からダイエットすることにしました。明日からダイエットするのにしました。
I have decided to go on a diet from tomorrow.
事務所でたばこを吸ってはいけないことになりました。事務所でたばこを吸ってはいけないのになりました。
It has been decided that smoking is not allowed in the office.
会社では週1回会議を開くことになっています。会社では週1回会議を開くのになっています。
In the company, it has been decided that meetings are held once a week.
「の」と「こと」の使い分け
「忘れる」や「覚える」は、「の」と「こと」の両方が使えることがあります。
ただし、どちらを使うかは、誰の動作か、また何を覚えているのかによって変わります。
• の:自分が実際にした行動や経験を思い出す感じ
• こと:聞いた内容、言われた内容、事実を覚えている感じ
[例]
(わたしは) 教科書を持ってくるのを忘れました。
I forgot to bring the textbook.
⇒ 教科書を忘れた人は話し手(わたし自身)です。
(わたしは) 母が言ったことを忘れました。
I forgot what my mother said.
⇒「忘れた」のは話し手ですが、「言った」という動作主は「母」です。
このように、話し手が第三者の動作と自分の動作を結ぶ場合は「こと」を使います。
他の例も見てみましょう。
[例]
子どものときにこの遊園地に来たのを覚えています。
When I was a child, I remember coming to this amusement park.
⇒ 話し手自身が遊園地に来たことを話しています。
山田さん、わたしが言ったことを覚えていますか。
Mr.Yamada, do you remember what I said?
⇒ 話し手は山田さんに「覚えている」かと質問をしています。その内容は話し手が言ったことで、話し手と第三者の動作を「こと」で結んでいます。
まとめ
- 「の」と「こと」は、どちらも文を名詞のようにするときに使う。 ただし、いつでも置き換えられるわけではない。
- 嗜好・能力・感想や評価を表すときは、どちらも使えることがある。
- 知覚動詞や「〜のは〜です」の強調構文では、「の」を使う。
- 経験・可能・決定・ルールを表す文型では、「こと」を使う。 「忘れる」「覚える」などは、意味によって使い分けが必要になる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. こと
この会社では毎朝そうじすることになっています。
In this company, it is a rule to clean every morning.
*決まりを表しているので「こと」が正解です。
A. の
マリアさんが社長と話しているのを見ました。
I saw Maria talking to the president.
*知覚動詞の「見る」を使っているので「の」が正解です。
A. こと
ひらがなを読むことができます。
I can read hiragana.
*可能形を使っているので「こと」が正解です。
A. こと
どうしよう、社長に言われたことを忘れてしまった。
What should I do? I forgot what the president told me.
*話し手が忘れていることは社長(第三者)が言ったことなので「こと」で結びます。
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