ビジネス日本語 – 「行く」と「来る」の謙譲表現

目次
1. 「参る」と「伺う」の違い
2. 「行く」「来る」の基本的な敬語表現
3. 類似表現と使い分け
4. フォーマルさが少し下がる表現
5. まとめ
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7. コメント
Q:「参る」と「伺う」は言い換えできますか?
A: 完全には言い換えできません。 「参る」は話し相手に対する謙譲語で、自分の行動をへりくだる表現です。一方、「伺う」は話題の主(訪問先など)に対する謙譲語で、相手のもとへ行くことを丁寧に表します。そのため、文脈によって適切な使い分けが必要です。
「行く」「来る」の基本的な敬語表現
まずは基本をしっかりと抑えてから、バリエーションを増やしましょう。
| 種類 | 表現 |
| 謙譲語 | 伺う |
| 謙譲語 | 参る |
[例]
わたくしがそちらへ参ります。
I will come over there.
それでは、明日3時に伺います。
Then, I will visit at 3 PM tomorrow.
[「伺う」と「参る」の違いを理解しよう]
日本語の敬語には「謙譲語」と呼ばれる表現がありますが、実は「謙譲語I」と「謙譲語II」の2種類に分かれます。この違いを理解すると、より適切な敬語を使うことができます。
「謙譲語I」と「謙譲語II」について詳しい記事を読みたい方はこちら▶︎
「伺う」は謙譲語I – 話題の主に対する敬語
「伺う」は、「行く」や「訪ねる」の謙譲語であり、話題に上がっている人物や物に対する敬語として使われます。
[例]
明日、先生のお宅に伺います。
I will visit my teacher’s home tomorrow.
明日、先生のお宅に伺うことになっています。(友人との会話でも使用可能)
I am scheduled to visit my teacher’s home tomorrow.
このように、話している相手が先生でなくても使えるのが特徴です。
「参る」は謙譲語II – 聞き手に対する敬語
「参る」も「行く」の謙譲語ですが、こちらは聞き手(目の前の相手)に対する敬語です。つまり、話している相手が先生など目上の人である場合に使います。
[例]
◯ 明日、先生のお宅に参ります。(先生本人に向けた表現)
I will visit my teacher’s home tomorrow.
× 明日、先生のお宅に参ることになっています。(話題の主が聞き手でない場合は不自然)
I am scheduled to visit my teacher’s home tomorrow.
[「伺う」と「参る」の使い分け – アポイントの場面で考える]
特にアポイントの際、どちらを使うべきかを理解しておくと、より適切な敬語表現ができます。
相手のオフィスに行くなら「伺います」
[例]
明日、オフィスに伺います。
I will visit your office tomorrow.
「伺う」は謙譲語I であり、話題の主(この場合は相手のオフィス)に対する敬語です。
アポイントを取っている 先方のオフィス に行く場合は、「伺います」が適切です。
別のオフィスに行くなら「参ります」
[例]
明日、オフィスに参ります。
I will visit the office tomorrow.
「参る」は謙譲語II であり、話し相手(この場合はアポイントを取っている相手)に対する敬語です。
もし アポイントを取っている相手のオフィスではなく、別のオフィス に行く場合は、「参ります」が自然です。
類似表現と使い分け
[お伺いする]
「伺う」の形を変えて、次のように表せます。
・お伺いする:「伺う」に「お~する」の形を加えて、さらに敬意を高めた表現です。
[例]
それでは、明日お伺いします。
Then, I will visit you tomorrow.
A:「明日の午後でしたらお会いできますよ。」
B:「ありがとうございます。それでは明日の午後、お伺いします。」
A: “I will be available in the afternoon tomorrow.”
B: “Thank you very much. Then, I will visit in the afternoon tomorrow.”
[相手に会うためや目的のためにその場所へ行く場合]
・訪問する:ビジネス・フォーマルな場面で使われます。
[例]
来週は、取引先の本社へ訪問する予定です。
Next week, I plan to visit the headquarters of our business partner.
本日、貴社を訪問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
Today, I will be visiting your company, so I appreciate your kind cooperation.
フォーマルさが少し下がる表現
[お邪魔する]
・お邪魔する:相手の家やオフィスを訪れる際によく使われます。
[例]
先日は、お邪魔させていただきありがとうございました。
Thank you for having me the other day.
先輩:「来週、うちで飲み会しようよ。」
後輩:「え、先輩のうちにお邪魔してもいいんですか。」
Senior: “Let’s have a drinking party at my place next week.”
Junior: “Oh, is it okay for me to come over to your place?”
⇒ この場合、「お邪魔する」は「訪問する」と似た意味で使っています。
ただし、社長など目上の人に対しては「お伺いする」を使うのが適切です。
[今いる場所を「去る」という意味のとき]
・失礼する:「去る・退出する」の意味で使われます。
[例]
本日はこれで失礼いたします。
I will take my leave for today.””I have something to attend to today, so I will leave ahead of you.
今日は用事がありますので、お先に失礼いたします。
I have something to attend to today, so I will leave ahead of you.
現在形の「失礼します」は「去る・退出する」という意味で使われます。
一方、過去形の「失礼しました」は、自分の行動に失礼があったときの軽い謝罪 に使われるので注意が必要です。
[例]
A:「明日は9時から会議でよろしいでしょうか。」
B:「いえ、9時半からです。」
A:「失礼しました。9時半からですね、承知しました。」
A: “Will the meeting start at 9 o’clock tomorrow?”
B: “No, it will start at 9:30.”
A: “I apologize for the mistake. So, it starts at 9:30. Understood.”
⇒ この場合の「失礼しました」は、誤った情報を言ってしまったことへの軽い謝罪です。
まとめ
- 謙譲語の「伺う」は、「お伺いする」に変えて、より丁寧に表現できる。
- 相手に会うためや、特定の目的でその場所に行く場合には、「訪問する」を使うと適切。
- フォーマルさを抑えてもよい相手には、「お邪魔する」も使える。ただし、目上の人やビジネスの場では「お伺いする」を使う方が望ましい。
- 今いる場所を「去る・退出する」という意味では、「失礼します」(現在形)を使う。
- 「失礼しました」(過去形)は、自分の行動に対する軽い謝罪の表現として使われるため、意味の違いに注意する。








