ビジネス日本語 – 「行く」と「来る」の尊敬表現

目次
1. 「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」の違い
2. 「行く」「来る」の基本的な敬語表現
3. 類似表現と使い分け
4. 特定の状況や場面での表現
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q:「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」の違いがわかりません。
A: 「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」は、いずれも「行く」「来る」の尊敬語ですが、使い方やニュアンスに違いがあります。以下でそれぞれの違いを説明します。
「行く」「来る」の基本的な敬語表現
まずは基本をしっかりと抑えてから、バリエーションを増やしましょう。
| 種類 | 表現 |
| 尊敬語 | いらっしゃる |
| 尊敬語 | おいでになる |
[例]
社長、A社の鈴木様がいらっしゃいました。
President, Mr. Suzuki from Company A has arrived.
まもなくお客様がおいでになります。
Our guest will be here shortly.
「いらっしゃる」と「おいでになる」はどちらも「行く・来る」の尊敬語で、敬語の程度は同じくらいなので置き換え可能です。
しかし、近年では「いらっしゃる」 の方が一般的な尊敬語としてよく使われており、「おいでになる」 は、やや格式張った表現で、書き言葉や改まった場面に適しています。
類似表現と使い分け
基本的な敬語表現以外にも、以下のような言い方があります。
• お見えになる
• お越しになる
しかし、単に言い換えを増やすのではなく、場面や状況に応じて適切に使い分けることが重要です。
まずは、この2つの違いを理解しましょう。
① 「お見えになる」と「お越しになる」の丁寧さの違い
「お見えになる」よりも「お越しになる」のほうが、より丁寧で格式の高い表現です。
[例]
明日12時頃、お客様がお見えになります。
Around 12:00 noon tomorrow, our guest will be arriving.
来週の月曜日に、鈴木様がお越しになります。
Mr. Suzuki will be coming next Monday.
「お越しになる」のほうが、より相手の行為を高めた表現になります。
② 「お見えになる」と「お越しになる」の意味の違い
・お見えになる:「来る」の丁寧な言い方
・お越しになる:わざわざ遠くから来てもらったことを強調する言い方
[例]
社長、A社の鈴木様がお見えになりました。
President, Mr. Suzuki from Company A has arrived.
⇒ 単純に「鈴木様が来た」ことを表しています。
本日はお越しいただきありがとうございました。
Thank you for coming today.
⇒ 「わざわざ遠くから来てくださった」ことに対して感謝を伝えています。
[注意]
「本日はお見えいただきありがとうございます」とは言いません。
「お見えになる」は単に「来る」という意味なので、感謝の意を込める場合は「お越しいただきありがとうございます」を使うのが適切です。
特定の状況や場面での表現
敬語表現では、目上の人やお客様が「会社に来る・来た」「お店に来る・来た」と言う場合、それぞれ適切な言い方があります。
① 会社やお店への訪問に関する表現
• ご来社(いただく):会社に来てもらったことを表す
• ご来店(いただく):お店に来てもらったことを表す
[例]
先日はお忙しい中、ご来社いただきありがとうございました。
Thank you for visiting our company the other day despite your busy schedule.
⇒ 取引先などが会社を訪れたことに対する感謝を表します。
またのご来店をお待ちしております。
We look forward to your next visit.
⇒ お客様が再びお店を訪れることを願う表現です。
② 目上の人の移動を労う表現
目上の人がわざわざ移動して来たことを労う際には、次のような表現を使います。
• ご足労(いただく・おかけする):相手が時間をかけて移動してくれたことに対する敬意や感謝を示す
[例]
A: 本日はご足労いただき、ありがとうございました。
B: いえいえ、とんでもないです。
A: Thank you for taking the time to come today.
B: No, not at all.
ご足労をおかけし、申し訳ございませんでした。
I apologize for any inconvenience caused by asking you to come.
⇒ わざわざ来てもらったことへの恐縮や謝意を示します。
[注意]
なお、実際に歩いて移動したかどうかに関係なく、移動に時間を割いてもらったことに対して使うことができます。
まとめ
- 「いらっしゃる」のほかに、「お見えになる」「お越しになる」といった表現がある。
- 「お見えになる」よりも「お越しになる」のほうが、より丁寧な表現。
- 「お見えになる」は「来る」の丁寧な言い方だが、「お越しになる」には「わざわざ(遠くから)来た」というニュアンスが含まれる。
- 目上の人が会社に来る場合は「ご来社(いただく)」、お客様が店に来る場合は「ご来店(いただく)」を使う。
- 目上の人がわざわざ移動して来たことを労う場合は、「ご足労(いただく)」を用いる。
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