JLPT N0・N2語彙 「とける」と「とろける」の違い

目次
1. 「とける」と「とろける」の違い
2. とける
3. とろける
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q: 「とろけるチーズ」とよく言いますが、「とける」と「とろける」は違いますか?
A: どちらも「物が溶ける」という意味を持ちますが、表す状況やニュアンスが異なります。
溶ける (JLPT N2)
[意味]
① 熱や薬品などによって、固体が液体になる
② ある物質が液体に混じって一体化する
[よく一緒に使う言葉]
金属類・氷 など
[例]
暑さで氷が溶けてしまいました。(①)
It was so hot that the ice melted.
お湯に氷を入れると、あっという間に溶けました。(②)
When I put ice into the hot water, it melted in no time.
① 固体が熱で液化する場合
主に鉄や金など硬い物質が高温で液体になるときに使います。金属以外にも「飴」や「氷」などにも用いられます。
[例]
鉄は約1500度の高温で溶けます。
Iron melts at a high temperature of about 1500 degrees.
高温の炉の中で、金がゆっくりと溶けて液体になりました。
In the high-temperature furnace, the gold slowly melted and turned into liquid.
ポケットに入れていた飴が溶けていました。
The candy I had in my pocket had melted.
屋根の雪が溶けて、水滴がポタポタと落ちています。
The snow on the roof has melted, and water droplets are dripping down.
② 物質が液体に混ざり一体化する場合
砂糖や塩などが液体に溶け込み、形がなくなる状態を表します。
[例]
固くなったはちみつはお湯で簡単に溶けます。
Hardened honey melts easily in hot water.
インスタントコーヒーはお湯にすぐ溶けるので便利です。
Instant coffee dissolves quickly in hot water, so it’s convenient.
スープに塩を加えると、すぐに溶けて味が良くなりました。
When salt was added to the soup, it dissolved right away and improved the flavor.
蕩ける (JLPT N0)
[意味]
① 熱を加えることで固体がやわらかくなり、液状に近づくこと
② 気持ちが和らぎ、ゆったりとした幸福感に包まれること
[よく一緒に使う言葉]
アイスクリーム・チーズ・バター など
[例]
舌の上でアイスクリームがとろけていきました。(①)
The ice cream melted away on my tongue.
心地の良い音楽に心がとろけてしまいました。(②)
My heart completely melted in the comfort of the pleasant music.
① 固体が熱でやわらかくなる場合
チーズやバターなど、常温では固体のものが、熱によってゆっくりと液状に近づいていく様子を表します。
[例]
パンにチーズをのせて焼くと、チーズがとろけました。
When I baked bread with cheese on top, the cheese melted.
熱いパンケーキの上のバターが、とろけていっています。
The butter on the hot pancake is melting away.
また、完全に液体にならなくても、食べ物が口の中でゆっくりとやわらかくなり、液体化していく食感も表現できます。
[例]
クリーミーなチーズケーキが、口の中でとろけていきます。
The creamy cheesecake melts in your mouth.
このトロはとてもやわらかく、とろけるような食感です。
This fatty tuna is very tender, with a texture that seems to melt away.
② 心の状態を比喩的に表す場合
物質だけでなく、幸福感や癒やしによって心がゆるみ、満ち足りた感情になる様子を表すこともあります。
[例]
ゆったりとしたピアノの音色で、心がとろけていくようです。
It feels as if my heart is melting away with the gentle tones of the piano.
⇒ 音色に癒やされ、とてもリラックスした気持ちを表現です。
赤ちゃんの笑顔を見ていると、自然と心がとろけます。
When I see a baby’s smile, my heart naturally melts.
⇒ 幸せな感情で心が満たされていく様子を伝えています。
比べてみよう
次の例文は、どちらも文法的には正しく、意味も通じます。しかし、ニュアンスには違いがあります。
[例]
チョコレートが口の中でとけました。
チョコレートが口の中でとろけました。
「とける」は、チョコレートが常温や体温でやわらかくなったという客観的な事実を伝えます。
一方、「とろける」は主観的な描写で、美味しさや幸福感をともなう食べ物の表現に用いられます。
口の中でゆっくりと広がる美味しさや、やわらかな食感を印象づけます。
次の例も見てみましょう。
[例]
とけるチーズ
とろけるチーズ
「とけるチーズ」は、“加熱するとやわらかくなる”というチーズの機能や特徴を説明する客観的表現です。
「とろけるチーズ」は、“加熱することでゆっくりとやわらかくなる”“口の中で美味しさが広がる”“やわらかな食感がある”といった、加熱後の見た目や味・食感を魅力的に伝える表現です。
まとめ
[とける]
- ① 熱や薬品によって固体が液状になる。
- ② ある物質が液体に溶け込み、その液体と一体化する。
- 常温や加熱によってやわらかくなる状態を、客観的に説明する言葉。固体の「機能・特徴」を表すときに使う。
[とろける]
- ① 熱を加えることで固体がやわらかくなり、液状に近づく。
- ② (比喩)気持ちが和らぎ、ゆったりと幸福感に包まれる。
- 食べ物や感情などを主観的に描写する言葉。美味しさが口の中でゆっくりと広がる様子や、やわらかな食感・見た目を魅力的に表現できる。
関連記事
▼メールマガジンに登録▼
日本語学習のヒントを無料で受け取ろう!








