なぜ「彼たち」とは言わないのか?日本語の複数表現

目次
1. 日本語の複数表現
2. たち(達)
3. ら(等)
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q:「たち」と「ら」は何が違いますか?「私たち・私ら」は自然なのに、「彼たち」とは言わないのはなぜですか?
A: この2つの表現には、実は使い方やニュアンスに微妙な違いがあります。まずはそれぞれの基本的な意味を確認しながら、違いを掘り下げてみましょう。
たち(達)
[使い方]
名詞・代名詞につけて、それらが複数であることを表す
人称名詞、職業や立場と一緒に使う
[例]
わたしたちは電車で行きます。
We will go by train.
先生たちは会議をしているようです。
The teachers seem to be having a meeting.
君たちは3階の教室でテストを受けてください。
You all should take the test in the classroom on the third floor.
「たち」は、「わたし・あなた・君」のような一人称、人名、職業や立場を表す言葉とよく使われます。
[例]
あなたたちのおかげで助かりました。
Thanks to you all, I was saved.
今日、マリアさんたちは学校に来ないのかな。
I wonder if Maria and the others aren’t coming to school today.
警官たちは事件の犯人を捜しているようです。
The police officers seem to be searching for the suspect in the case.
ら(等)
[使い方]
①人を表す言葉や人名や職名につけて、他にも同類がいることを表す
②人を表す代名詞・名称などにつけて、その他にも同類がいることを大まかに表す
① ニュースなどでの客観的な表現に使われる
人物の上下関係や親しさに関係なく、中立的・客観的な視点で集団を示すときによく使われます。
ニュース記事や報道文体で多く見られる表現です。
[例]
大臣らは報道陣の質問に答えず去って行きました。
The ministers left without answering questions from the press.
犯人と思われる男らは今も逃走中です。
The men believed to be the suspects are still on the run.
② 抽象的・曖昧な印象を与える
「たち」よりも具体性が薄れ、集団全体や漠然とした仲間意識を表現するのに適しています。
カジュアルな会話でもよく使われます。
[例]
ぼくらの時代は、自然が残っていて川や山で遊んだよ。
Back in our day, there was still a lot of nature, and we used to play in the rivers and mountains.
⇒人物を特定せず、「ぼく」の世代全体を表すために「ら」を使います。
今回のミスはわたしらのせいではないです。
This mistake isn’t our fault.
⇒誰がやったのかという曖昧感が増します。
③カジュアルな会話での使用
また「ら」は「たち」よりカジュアルな会話でよく使います。
[例]
今の子供もこのゲームするんだね。わたしらもよくしたよね。
Kids these days play this game too, huh? We used to play it all the time.
俺らはずっと友達だよ。
We’ve always been friends.
比べてみよう
それではここで本題です。
ここまでで「彼たち」がほとんど使われない理由はわかりましたか。
実はその答えは、「たち」の使い方にあります。
「たち」は基本的に、一人称(わたし・ぼく・おれ)や人名、身近な人物につけて複数を表すときに使われます。
一方、「彼」は三人称であり、話し手や聞き手とは距離のある存在を指すため、複数を表す場合には「たち」ではなく「ら」を使うのが自然です。
この場合、「ら」がカジュアルかどうか、対象が抽象的かどうかといったことは関係ありません。
文法的な性質として、「彼たち」は不自然で、「彼ら」が正しい表現になります。
なお、「彼ら」は中立的でフォーマルな場面で使われることが多いです。
[例]
彼らの努力がこのプロジェクトの成功につながりました。
Their efforts led to the success of this project.
彼らはまだ結果を出していませんが、可能性は十分に見込めると思います。
They haven’t shown results yet, but I believe they have plenty of potential.
まとめ
- 「たち」は、一人称、人名、職業や立場を表す言葉につけて、それらが複数であることを表す。
- 「ら」は、対象を客観的または漠然と示すときに使う。
- 「彼」は三人称であるため、複数形には「たち」ではなく「ら」を使うのが自然。「彼たち」という表現は一般的ではない。
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