JLPT N4・N2文法「〜にくい」・「〜づらい」・「〜がたい」
目次
1. 「〜にくい」・「〜づらい」・「〜がたい」の違い
2. 〜にくい
3. 〜づらい
4. 〜がたい
5. 比べてみよう
6. 色々な使い方
7. まとめ
8. クイズ
9. 関連記事
10. コメント
Q: 「〜にくい」・「〜づらい」・「〜がたい」に違いはありますか?
A: この3つはいずれも「難しい・困難・不可能」といった意味合いを出す形容詞です。
だからといってどれを使っていいわけではなく、適切なものを使わないと伝わらないこともあるので注意しましょう。
まずは3つのそれぞれを意味とポイントを確認しましょう。
〜にくい (JLPT N4)
[意味①]
そうすることが難しい/大変だ
[ポイント]
あることに原因があって、話し手が何かをすることが難しいことを表します。
[ルール]
[N] 意思動詞語幹+にくい
[例]
このおかしは固くて食べにくいです。
This sweets is hard and difficult to eat.
⇒ 「固いこと」が原因で食べるのが難しいです。
この説明は複雑でわかりにくいです。
This explanation is complicated and hard to understand.
⇒ 「複雑なこと」が原因で説明を理解するのが難しいです。
[意味②]
そうなる可能性が低い・なかなかそうならない
[ポイント]
ものの性質や耐久性を表します。
[ルール]
[N] 無意思動詞語幹+にくい
[例]
このおかしはカロリーが低くて太りにくいです。
These sweets have low calories and are unlikely to cause weight gain.
⇒ カロリーが低いので、食べても太る可能性が低いです。
このおはしは丈夫で折れにくいです。
These chopsticks are sturdy and resistant to breaking.
⇒ 丈夫なので、折れる可能性が低いです。
〜づらい (JLPT N2)
[意味] そうすることが難しい/大変だ
[ポイント]
話し手が肉体的、能力的、心理的に何かをすることが難しいことを表します。
また話し手が何かに対して申し訳ないという気持ちを表すときにも使えます。
[ルール]
[N] 意思動詞語幹+づらい
[例]
<肉体的> 足が痛くて走りづらいです。
My feet hurt, making it difficult to run.
⇒ 「足が痛くて肉体的に辛い」という意味です。
<心理的> みんな残業していて帰りづらいです。
It’s hard to leave when everyone is working overtime.
⇒ 「みんなのことを考えて心理的に帰れない」ことを表しています。
〜がたい (JLPT N2)
[意味] あることの程度が度を越えていて、そうしたいがそうできない。
[ポイント]
あることに対して話し手がそうしたいがそうできないことを表します。能力的なことは表せません。
またややかたい表現のため、対象となる事柄が真面目なものであることが多いです。
使われる動詞はあまり多くなく、慣用句的に使われることが多いと覚えておきましょう。
[ルール]
[N] 心の動きや発言を表す動詞語幹+がたい
[例]
彼の話が本当か信じがたいです。
His story is hard to believe.
⇒ 彼の話を信じたいけれど、あまりにおかしな話なので信じることができません。
この話についてはなんとも言いがたいですね。
It’s hard to say anything about this story.
⇒ この話について言いたいことはあるけれど、言うことができません。
比べてみよう
このように意味が少しずつ違いますから、しっかり頭に入れておきましょう。
それでは、もう少し違いが分かるように同じ動詞を使ってみてみましょう。
[例] 食べます
このおかしは固くて食べにくいです。
This sweets is hard and difficult to eat.
⇒ おかしが固いせいで話し手がおかしを食べることが難しいということを表しています。
歯が痛くておかしが食べづらいです。
My tooth hurts, making it difficult to eat sweets.
⇒ 話し手の歯が痛くて肉体的におかしを食べることが難しいということを表しています。
また痛みを感じていることから精神的に難しいとも考えられます。
早くごはんを食べたいけど、まだ誰も食べ始めていないから食べづらいな。
I want to eat, but it’s awkward because no one has started eating yet.
⇒ 話し手は食べたいけれど、まだ誰も食べていない状況を見て、心理的に食べることが難しいということを表しています。
このおかし、食べがたいな。This sweet is difficult to eat.
⇒ そもそも「食べる」は心の動きや発言を表す動詞ではないですね。だから使えません。
色々な使い方
「〜にくい」と「〜づらい」が使える場合
仕事を辞めたいけど、言いにくいな。
仕事を辞めたいけど、言いづらいな。
I want to quit my job, but it’s hard to say.
いま会議中だしトイレへ行きにくいな。
いま会議中だしトイレへ行きづらいな。
I’m in a meeting right now, so it’s difficult to go to the bathroom.
この2つの例のように上司や周りの人、状況などが原因なら「〜にくい」、話し手が心理的に難しいと思うのであれば「〜づらい」がふさわしくなります。
ものの性質や耐久性を表せるのは「にくい」だけ!
このコップはステンレスで、飲み物が冷めにくいです。
This cup is made of stainless steel, so it doesn’t cool drinks easily.
⇒ ステンレスという性質上、飲み物が冷める可能性が低いことを話しています。
この紙は濡れても破れにくいです。
This paper is difficult to tear even when wet.
⇒ ふつうの紙は水に濡れると破れますが、この紙は破れる可能性が低いという耐久性を話しています。
心の動きや発言を表す動詞+がたい
「〜がたい」は他の2つに比べると、使われる動詞が心の動きを表すものと発言を表すものに限られます。しかし使われる動詞の数はあまり多くなく慣用句的に使われることがほとんどなので、フレーズとして覚えるがおすすめです。
[よく使われる動詞]
心の動きを表す動詞は「信じる」「想像する」「受け入れる」「許す」「理解する」
発言を表す動詞は「言う」「話す」
心の動きや発言を表す動詞+にくい・づらい・がたい
実は上で紹介した「〜がたい」とよく使われる動詞は「〜にくい」・「〜づらい」・「〜がたい」の全てと使うことができます。
何が違うのかと不思議に思うかもしれませんが、動詞が変わってもそれぞれのポイントは同じです。
それでは同じ動詞を使ってふさわしい文と合わせて考えてみましょう。
[例] 想像する
そんな少ない情報だと、想像しにくいよ。
It’s hard to imagine with so little information.
⇒ 情報が少ないせいで話し手が想像することが難しい状態です。
ちょっとわたしには想像しづらいです。
I find it a bit hard to imagine.
⇒ 話し手の能力的に想像するのは難しいということを表します。
このまま温暖化が進めば、明るい未来は想像しがたいです。
If global warming continues like this, it’s hard to imagine a bright future.
⇒ 温暖化がひどくなれば、明るい未来を想像したいが想像できない/難しいです。
まとめ
あることのせいで話し手が難しい・大変と思ったことには「〜にくい」、
話し手自身に何か要因や問題があって難しい・大変と思ったことには「〜づらい」、
程度の度合いが超えていて、話し手がそうしたいがそうすることが難しい・困難なときは「〜がたい」を使いましょう。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. にくい
先生の話は難しくてわかりにくいなあ。
The teacher’s lecture is difficult to understand.
*先生の話に原因があるので「にくい」がふさわしいです。また「わかりがたい」という言い方はないので注意しましょう。
A. がたい
いじめをする人の気持ちは理解しがたいです。
It’s hard to understand the feelings of people who bully.
*「いじめをする人の気持ち」(程度の超えた話題)に対して話し手が理解するのが難しいと言っているので「がたい」がふさわしいです。
A. にくい
このタイヤは雪の上でもすべりにくいです。
These tires are not prone to slipping even on snow.
*タイヤの性質の話をしているので「にくい」が正解です。
A. づらい
先輩に聞きたいけど、いそがしそうで話しかけづらいなあ。
I want to ask the senior, but it seems difficult to approach them as they seem busy.
*先輩に話したいけど話し手が心理的に難しいまたは申し訳ないと感じているので「づらい」がふさわしいです。
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