JLPT N0・N1語彙 – 「労わる」と「労う」の違い

目次
1. 「労わる」と「労う」の違い
2. 労わる
3. 労う
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q: 「労わる」と「労う」は意味が違うんですか?
A: どちらも相手への思いやりを表す言葉ですが、対象や使い方のニュアンスに違いがあります。
労わる (JLPT N1)
[意味]
① 身体的・精神的に弱い立場にある人に対して、思いやりをもって優しくすること
② 手当を加える、養生すること
[例]
怪我をしたチームメイトを労わりました。(①)
I cared for my teammate who was injured.
体調が優れないときは身体を労わったほうがいいですよ。(②)
When you don’t feel well, you should take care of your body.
① 弱い立場の人への思いやり
高齢者や病人などに対して使うことが多く、「優しくする・大事にする」という意味に近いです。
[例]
いつも頑張っているね。今日はゆっくり休んで、体を労わってね。
You’re always working hard. Take a good rest today and be kind to your body.
老いた両親を労わりながら暮らしています。
I live my life while taking care of my elderly parents.
② 自分の体をいたわる
弱い立場の相手だけでなく、自分の体を大切にするという意味でも使います。
[例]
徹夜続きだったので、週末は何もせず体を労わることにしました。
Since I had been staying up all night, I decided to do nothing on the weekend and take care of my body.
季節の変わり目は体調を崩しやすいので、自分の体を労わるようにしています。
The change of seasons makes it easy to get sick, so I try to take care of my body.
複合動詞「労わり合う」
「~合う」を伴い、お互いを思いやり、大切にすることを表します。
[例]
忙しい毎日でも、家族で労わり合う時間を大切にしたいです。
Even in our busy daily lives, I want to cherish the time when we care for each other as a family.
プロジェクトの成功は、メンバー同士が支え合い、労わり合った結果でした。
The success of the project was the result of the members supporting and caring for one another.
労う (JLPT N0)
[意味]
相手の苦労や努力に対して感謝すること
[例]
新規プロジェクトが成功し、上司が部下たちを労いました。
The new project was a success, and the manager expressed appreciation to his subordinates.
社長自ら社員を一人ひとり労う姿が印象的でした。
It was impressive to see the president personally show appreciation to each employee.
「労う」は、頑張った相手への感謝や賞賛を表す言葉で、対象は主に部下や後輩、同僚、クラスメイトなど目下または同等の相手に使います。
[例]
いつも頑張っている社員を労って、食事会を開くことにしました。
We decided to hold a dinner party to show appreciation to the employees who are always working hard.
部下のモチベーションを保つためには、しっかり労うことです。
To maintain the motivation of subordinates, it is important to properly show appreciation for their efforts.
「労う」も「合う」と一緒に使って「労い合う」という複合動詞としてもよく使われます。「~合う」は「互いに~する」という意味で、「労い合う」は<お互いの苦労や努力などに感謝する>ことを表します。
[例]
試合のあと、仲間と「よく頑張ったね」と言って労い合いました。
After the game, we said “Good job” to each other and shared words of appreciation.
「今日も一日お疲れさま」と労い合うことで、職場の雰囲気が和らぎます。
By saying “Thank you for your hard work today” to each other, the atmosphere in the workplace becomes more relaxed.
そして「労をねぎらう」という表現があります。意味は「労う」と同じです。
[例]
社長から社員一人ひとりに、これまでの労をねぎらう言葉がかけられました。
The president spoke words of appreciation to each employee for their hard work up to that point.
上司が「皆さんの労をねぎらいたいと思います。本当にお疲れさまでした」と挨拶しました。
The manager greeted the staff by saying, “I would like to express my appreciation for your efforts. Thank you very much for your hard work.”
「労う」は本来、目下や同等の相手に使う言葉です。上司や先輩など目上の人に対して「労う」と表現すると、場合によっては失礼にあたる可能性があります。
そのため、目上の人には次のように感謝を伝える表現を使うのが適切です。
「いつもありがとうございます」
「大変お世話になっております」
「ご尽力に感謝いたします」
「お疲れ様でございました」
比べてみよう
次のような場合、どちらがふさわしいでしょうか。
[例]
①泣いている後輩を労わりました。
②泣いている部下を労いました。
正解は①です。
「労わる」は、身体的・精神的に弱っている人に対して使い、その相手を思いやり、優しく接することを表します。泣いている後輩のように、気持ちが落ち込んでいる相手に寄り添う場面では「労わる」が適切です。
一方、「労う」は努力や苦労に対して感謝を表す言葉であり、泣いている相手に使うと意味が合いません。そのため、この場合は「労わる」が自然な表現となります。
では、次の例ではどうでしょう。
[例]
① 体調を崩した同僚を労わりました。
② 体調を崩した同僚を労いました。
この場合も②が正解です。
体調を崩して弱っている人への気遣いには「労わる」が適しています。
このように、弱っている相手=労わる、努力した相手=労う と考えると使い分けが分かりやすくなります。
まとめ
[労わる]
- ① 身体的・精神的に弱っている人(高齢者や病人など)に対して、思いやりをもって優しく接すること。
- ② 自分の体を大切にするという意味でも使う。
- 関連表現として「労わり合う(互いに思いやる)」がよく使われる。
[労う]
- 苦労や努力をして頑張った相手に対し、感謝や賞賛の気持ちを表す言葉。
- 対象は部下や後輩など目下の人、または同僚やクラスメイトなど同等の人。
- 関連表現として「労い合う(互いの努力を認め合う)」「労をねぎらう(労うと同じ意味)」がよく使われる。
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