JLPT N1文法 – 「〜べからず」と「〜べからざる」の違い

目次
1. 「〜べからず」と「〜べからざる」の違い
2. 〜べからず
3. 〜べからざる
4. まとめ
5. 関連記事
6. コメント
Q: 「〜べからず」と「〜べからざる」の違いがわかりません。
A: どちらも古語的な表現ですが、意味と使い方に違いがあります。「〜べからず」は「〜してはいけない」という禁止を表し、掲示文や注意書きなどで見かけます。一方、「〜べからざる」は「〜することができない」「〜すべきでない」という不可能や否定の意味で、主に名詞を修飾して使われ、文学的・格式ばった文体に用いられます。
べからず (JLPT N1)
[意味]
(禁止・禁止命令)〜してはいけない/〜するな/〜ないでください
[ルール]
[V]動詞辞書形+べからず
*「する」は「するべからず」と「すべからず」の2つがある
[例]
展示品に手を触れるべからず。
Do not touch the exhibits.
これは許すべからず行為です。
This is an unforgivable act.
「べからず」は動詞に付けて、「禁止」の意味を強く表す古語的表現です。現代の口語ではほとんど使われませんが、掲示文や立て札、注意書きなどの硬い文体で見られることがあります。
[例]
(立札の注意書き)ここに入るべからず。
(Signboard warning) Do not enter here.
⇒ 「ここに入らないでください」という意味です。
ごみは持ち帰らないと。あそこに「ここにごみを捨てるべからず」って書いてあるよ。
We have to take our trash home. It says “Do not throw garbage here” over there.
子供の頃、祖父によく「人の恩を忘れるべからず」と言われました。
When I was a child, my grandfather often told me, “Never forget the kindness of others.”
[よく使われる表現]
◆ 「初心忘るべからず」
決まった表現で、現代でもよく使われます。古語的表現のため「わすれる」ではなく「わする」という読み方です。
「初心」とは、何かを始めたときの純粋な気持ちや、慣れていない頃の緊張感・不安な感情のこと。
慣れて気が緩んでしまいがちなときに、「最初の意気込みや熱意、緊張感を忘れてはならない」という戒めとして使われます。
[例]
A:最近は仕事も慣れてきて、少し余裕がでてきました。
B:それはいいことだね。でも気が緩むとミスも増えるから「初心忘るべからず」だよ。
A: I’ve gotten used to my job recently, and I’m starting to feel a bit more at ease.
B: That’s a good thing. But when you let your guard down, mistakes can increase — so Never forget your original intentions.
プロになっても「初心忘るからず」という言葉を胸に刻んでいる。
Even as a professional, I keep the phrase “Never forget your beginner’s spirit” engraved in my heart.
べからざる (JLPT N1)
[意味]
(不可能・否定)〜することができない/〜すべきではない/〜してはならない
[ルール]
[V] 動詞辞書形+べからざる
[例]
彼はいい人ですが、言うべからざることを言うことがあります。
He is a good person, but sometimes says things that should not be said.
現代ではデジタルツールは生活するうえで欠くべからざるものです。
In modern life, digital tools are indispensable.
「べからざる」は動詞の語尾につき、後に続く名詞を修飾します。「不可能」や「してはならない」という意味を強調し、その名詞に対する重大さや厳しさを強く印象づける表現です。
やや文学的・格式ばった表現で、日常会話などの口語ではほとんど使われません。
[例]
これは許すべからざる行為です。
This is an unforgivable act.
⇒ 決して許すことができない・許してはいけない行為だということです。
これは決して繰り返してはならない忘れるべからざる過ちです。
This is a never-to-be-repeated, unforgettable mistake.
環境保護は、現代社会において軽視すべからざる課題です。
Environmental protection is an issue that must not be overlooked in modern society.
[よく使われる表現]
◆ 欠くべからざる+名詞
「非常に重要な〜である」という意味で、定型的に用いられます。
[例]
水は生きるうえで欠くべからざるものです。
Water is indispensable for living.
鈴木さんはプロジェクトのリーダーとして欠くべからざる人物です。
Mr. Suzuki is an indispensable person as the leader of the project.
まとめ
[べからざる]
- 動詞の語尾に付き、名詞を修飾して「不可能」や「してはならない」という意味を強調する表現。続く名詞に対して、その重大性や深刻さを強く印象づける。
- やや文学的で格式ばった言い回しであり、口語ではほとんど用いられない。
- 定型的に使われる「欠くべからざる〜」は、「非常に重要な〜である」という意味になる。
[べからず]
- 動詞の語尾に付き、「禁止」の意味を強調する古語的表現。
- 現代では口語では使われないが、掲示文や注意書きなどの硬い文体では今も使われることがある。
- 「初心忘るべからず」は、「始めたときの意気込みや熱意、緊張感を忘れてはならない」という意味で、現代でもよく使われる決まり文句の一つ。
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N1は日常で聞かない言葉ばかりですね😢
コメントありがとうございます!
本当にそうですよね、N1には普段の会話ではほとんど耳にしないような語彙もたくさん出てきます…
ただ、その分ニュースや新聞、ビジネスの場面など「フォーマルな日本語」に触れるきっかけにもなりますよ😊