JLPT N0・N1文法 – 「〜なりとも」と「〜だけでも」の違い

目次
1. 「〜なりとも」と「〜だけでも」の違い
2. 〜なりとも
3. 〜だけでも
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「〜なりとも」と「〜だけでも」の違いは何ですか?
A: どちらも「最低限〜」という意味で使われますが、表現の硬さや話し手の気持ちに違いがあります。
それぞれ見ていきましょう。
〜なりとも (JLPT N1)
[意味]
わずかでも・少しでも
[ルール]
[N] 名詞+なりとも
[例]
人々の苦しみが、いささかなりとも癒えることを願っています。
I hope that people’s suffering can be eased, even if only a little.
わずかなりとも、プロジェクトに貢献できて嬉しい限りです。
I’m truly glad that I was able to contribute, even in the slightest way, to the project.
「なりとも」は、最低限の条件を取り上げて、話し手の希望や願望を表すときに使われる、文語的でやや硬い表現です。抽象的な言葉とよく組み合わされます。
[例]
彼の気持ちは多少なりとも理解できます。
I can understand his feelings, even if only a little.
⇒ その気持ちを少しでも理解したいという、話し手の思いやりの姿勢が表れています。
一円なりとも無駄に使ってはいけない。
You must not waste even a single yen.
⇒ 一円という最低額であっても大切にすべき、という強い意志を示しています。
〜だけでも (JLPT N0)
[意味]
最低限〜だけは/〜という条件だけでも〜だ
[ルール]
[V] 動詞辞書形+だけでも
[N] 名詞+だけでも
[例]
せめて話だけでも聞いてほしいです。
I just want you to at least listen to me.
1000円だけでも貸してくれないかな。
Could you lend me even just 1,000 yen?
「〜だけでも」は、最低限の条件を取り上げて、その条件だけでも“十分だ”あるいは“ありがたい”という気持ちを表す表現です。
「〜なりとも」と異なり、口語的で日常会話でもよく使われます。
[例]
午前のうちに洗濯だけでもしてしまおう。
Let’s at least get the laundry done in the morning.
⇒ 洗濯さえできれば十分だという、前向きな気持ちを表しています。
この案に目を通すだけでもしていただけませんか。
Could you at least take a quick look at this proposal?
⇒ 忙しい相手に対し、「簡単に見るだけでもありがたい」という控えめな依頼の気持ちを表しています。
比べてみよう
「〜なりとも」と「〜だけでも」にはいくつかの違いがありますが、最も大きな違いは話し手の気持ちの表し方です。
[例]
◯ 一目なりとも会いたいです。
I would like to see you, even if only for a moment.
⇒ 「少しだけでも会えたらうれしい」という控えめな希望や願望を表しています。
◯ 一目だけでも会いたいです。
I want to see you, even just for a moment.
⇒ 「一目でも会えたら十分ありがたい」という感謝や満足感を表しています。
このように、
「〜なりとも」は少しでも会いたいという願望、
と「〜だけでも」は会えるだけでもありがたい・十分というように、話し手の気持ちのニュアンスにわずかな違いがあります。
では、次に「〜なりとも」と「〜だけでも」の使い分けについて見てみましょう。
[例]
◯ 彼の気持ちは多少なりとも理解できます。
I can understand his feelings, even if only a little.
× 彼の気持ちは多少だけでも理解できます。
「〜なりとも」は本来、仮の事柄を示したり、特定のものに限定しない場合に使われる副助詞です。
このため、「多少」のような抽象的な表現とは相性がよく、自然に使えます。
一方、「〜だけでも」は具体的な数量や範囲を示す語と組み合わせて使われることが多く、「最低限これだけでも十分だ」という意味合いを表すのに適しています。
[例]
× 今日はこの宿題なりとも終わらせよう。
◯ 今日はこの宿題だけでも終わらせよう。
Let’s at least finish this homework today.
⇒ 「この宿題」は具体的な対象なので、「だけでも」との組み合わせが自然です。
抽象的な語には「なりとも」、具体的な語には「だけでも」というのが使い分けのポイントです。
まとめ
[〜なりとも]
- 文語的でやや硬い表現。
- 最低限の条件を挙げ、それに対する希望や願望を表す。
- 仮の事柄や抽象的な語と一緒に使われることが多く、限定的な対象にはあまり用いられない。
[〜だけでも]
- 口語的で、日常会話を含む幅広い場面で使われる表現。
- 最低限の条件に対し、それだけでも十分・ありがたいという肯定的な気持ちを表す。
- 数量や範囲など具体的な語と組み合わせて使われることが多い。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. だけでも
弊社の社名だけでも覚えてくださると嬉しいです。
I’d be happy if you could at least remember our company name.
*「社名を覚えてもらえるだけでもありがたい」という気持ちを表しており、「だけでも」が適切です。
A. なりとも
わずかなりとも誤解が生じるのは避けたいものです。
I want to avoid even the slightest misunderstanding.
*「わずか」は抽象的な表現であり、その後に話し手の願望が続いているため、「なりとも」が適切です。
A. なりとも
節約のため一円なりとも無駄にできない。
For the sake of saving money, I can’t afford to waste even a single yen.
*「一円」は具体的な金額ですが、「それすら無駄にしたくない」という強い意志や願望が込められているため、「なりとも」が適切です。
A. だけでも
時間がないけどせめてジュースだけでも飲んでおこう。
I don’t have much time, but I’ll at least drink some juice.
*日常的なシーンで、「ジュース」は具体的な対象のため、「だけでも」が自然です。
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