JLPT N4 文法 -能動態・受動態の基本と“被害”の表現

目次
1. 能動態・受動態の基本と“被害”の表現
2. 能動態と受動態(受身形)
3. 持ち主の受身
4. 被害を強調する表現
5.「わたしは~」VS「わたしの~」
6. まとめ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「わたしのカメラが弟に壊された」と「わたしは弟にカメラを壊された」では意味が違いますか?
A: どちらも文法的には正しい受身文ですが、表現の焦点に違いがあります。
「わたしのカメラが弟に壊された」はカメラという“物”に焦点が当たっており、客観的な描写になります。
一方「わたしは弟にカメラを壊された」は“わたし”が受けた被害や不利益に焦点があり、主観的なニュアンスが強くなります。
つまり、どちらを使うかによって、話し手がどこに意識を置いているかが異なるのです。詳しく見ていきましょう。
能動態と受動態(受身形)
まず、「能動態」と「受動態」の意味を確認しましょう。
■ 能動態とは
動作を行う人(動作主)を主語にして、「~する・~している」と表す文型です。
[例]
日本人は米を食べます。
Japanese people eat rice.
多くの人がこの本を読んでいます。
Many people read this book.
先生はわたしを怒りました。
The teacher scolded me.
■ 受動態(受け身形)とは
動作を受ける人や物を主語にして、「~される・~されている」と表す文型です。動作主は「〜に」で表します。
[例]
米は日本人に食べられています。
Rice is eaten by Japanese people.
この本は多くの人に読まれています。
This book is read by many people.
わたしは先生に怒られました。
I was scolded by the teacher.
このように受動態(受身形)に対して、能動態が存在します。
持ち主の受身
「持ち主の受身」とは、自分の身体の一部や所有物(例:かばん・足・スマホなど)が、他者からの行為によって被害を受けたり、迷惑に感じたりする場合に使われる表現です。
このとき、「わたしの〜」という主語が暗黙のうちに含まれているため、日本語では文脈から明らかであれば「わたし」を省略するのが一般的です。
[例]
大切な本が破られました。
My important book was torn.
子供にタブレットを壊されてしまいました。
My child broke my tablet.
海外旅行中にスマホが盗まれて大変でした。
My smartphone was stolen while I was traveling abroad, and it was a big problem.
(他者の場合)
田中さんは旅行中にパスポートを盗まれました。
Mr. Tanaka had his passport stolen during his trip.
このように、”持ち主“にとって不本意な出来事が起きたことを表すのが「持ち主の受身」の特徴です。
被害を強調する表現
前に説明したとおり、能動態と受動態(受け身形)はセットで存在します。
たとえば、次のような文を見てみましょう:
| 能動態 | 受動態 |
|---|---|
| 弟は わたしのカメラを壊しました。 My younger brother broke my camera. | わたしは 弟に カメラを壊されました。 I had my camera broken by my younger brother. |
この例では、受け身文にすると、「わたし」が主語となります。「わたしのカメラ」は所有者が明確なため、受動態では省略されることがよくあります。
他の例も見てみましょう:
| 能動態 | 受動態 |
|---|---|
| 泥棒がわたしのお金を盗りました。 A thief stole my money. | わたしは泥棒にお金を盗られました。 I had my money stolen by a thief. |
| 能動態 | 受動態 |
|---|---|
| だれかがわたしの足を踏みました。 Someone stepped on my foot. | わたしは(だれかに)足を踏まれました。 I had my foot stepped on (by someone). |
※ 動作主がはっきりしない場合は、省略することもできます。
このように、「〜される」の受け身形では、自分が被害を受けたことや困ったことを表すときにも使われます。
「わたしは~」VS「わたしの~」
最後に、「わたしは弟にカメラを壊された」と「わたしのカメラが弟に壊された」の違いについて見てみましょう。
この2つの文はどちらも正しく理解できますが、焦点(フォーカス)とニュアンスに違いがあります。
「わたしは弟にカメラを壊された」
• 焦点:被害を受けた人(わたし)
• ニュアンス:自分が意図せず不利益を受けたことを強く感じている
• 例えるなら:「ひどい!わたしのカメラを壊されてしまった!」という気持ちに近い
「わたしのカメラが弟に壊された」
• 焦点:被害を受けた物(カメラ)
• ニュアンス:より客観的で冷静な描写
• 話し手がショックを受けていたとしても、文法上は感情が前面に出にくい表現
つまり、「わたしは~」は被害者の立場や感情に焦点があり、「わたしの~」は出来事の説明に近い表現になります。どちらを使っても文法的には正しいですが、文の印象が異なることを覚えておきましょう。
まとめ
- 日本語の文法は能動態と受動態が対に存在する。
- そのため、能動態「弟はわたしのカメラを壊した」に対して、受動態は「わたしは弟にカメラを壊された」になる。
- 「わたしは弟にカメラを壊された」は「被害を受けた人」(わたし)に焦点があたる。意図せず不利益を受けたことを強調する。
- 「わたしのカメラが弟に壊された」は「被害を受けた物」(わたしのカメラ)に焦点があたる。やや客観的な描写になり、話し手が主語になるよりも、行為の影響を直接受けている形にはならない。
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