JLPT N1・N2文法 – 「〜を皮切りに」と「〜を始め」の違い

目次
1. 「〜を皮切りに」と「〜を始め」の違い
2. Aを皮切りにB
3. Aを始めB
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「〜を皮切りに」と「〜を始め」は同じ意味ですか?
A:いいえ、意味が違います。
「〜を皮切りに」 は、ある出来事を最初として、その後、同じようなことが続いたり、広がったりすることを表します。
一方、「〜を始め」 は、同じグループの中から代表的な例を1つ挙げ、そのほかにも同じようなものがあることを表します。
詳しく見てみましょう。
Aを皮切りにB (JLPT N1)
[意味]
Aを最初として、その後Bが続く
Aをきっかけにして、Bへ広がる
[ルール]
[N] 名詞 + を皮切りに
[N] 名詞 + を皮切りにして
[ポイント]
「〜を皮切りに」は、Aが最初の出来事となり、その後、同じような出来事が次々に続いたり、広がったりすることを表す。
ニュース、ビジネス、芸能、スポーツ、イベント、社会的な出来事など、やや大きな動きに使われることが多い。
[例]
このパソコンはアメリカでの発売を皮切りに、世界でも発売されます。
This computer is scheduled to be released worldwide, starting with its launch in America.
この歌手のライブは、ロンドンを皮切りに世界中で開催されます。
The singer’s live tour will start in London and then be held around the world.
ドラマの大ヒットを皮切りに、その俳優はさまざまな映画にも出演するようになりました。
Following the huge success of the drama, the actor began appearing in various movies.
この作品を皮切りに、彼女は世界的に有名になりました。
This work marked the beginning of her becoming famous worldwide.
Aを始めB (JLPT N2)
[意味]
Aを代表的な例として
Aを1つの例として、そのほかにもBがある
[ルール]
[N] 名詞 + を始め
[N] 名詞 + を始めとして
[ポイント]
「〜を始め」は、同じグループの中から代表となる例を1つ挙げるときに使う。
Aには代表的な例が入り、BにはAを含む、より広い範囲を表す言葉が来る。
「たくさんの〜」「さまざまな〜」「多くの〜」「〜など」などの言葉と一緒に使われることが多い。
[例]
この会議にはアメリカを始めとして、たくさんの国が集まります。
Many countries, including the United States, will participate in this conference.
すしを始め、様々な日本食が海外でも人気です。
Various Japanese foods, including sushi, are popular overseas.
この映画には彼を始めとしてたくさんの有名な俳優が出演しています。
Many famous actors, including him, appear in this movie.
京都を始め、日本のさまざまな地域に外国人観光客が訪れています。
Foreign tourists are visiting many regions of Japan, including Kyoto.
比べてみよう
では上記のポイントを確認しながら2つの文を比べてみましょう。
[例]
この映画は、アメリカを皮切りに、さまざまな国で上映されます。
This movie will be shown in various countries, starting with the United States.
この映画は、アメリカを始めとして、さまざまな国で上映されます。
This movie will be shown in various countries, including the United States.
「アメリカを皮切りに」 の場合、アメリカでの上映が最初で、その後ほかの国でも上映されるという意味になります。
つまり、上映の順番や広がりに注目しています。
一方、「アメリカを始めとして」 の場合、アメリカは上映される国の代表例です。
アメリカが最初かどうかは関係ありません。
「アメリカも含めて、いろいろな国で上映される」という意味です。
[使うときの注意点]
①「〜を皮切りに」は、ただの開始には使いにくい
「〜を皮切りに」は、AのあとにBが広がっていくときに使います。
そのため、単に「何かが始まった」と言いたいだけの場合には不自然になることがあります。
[例]
〇 この授業を皮切りに、日本文化に興味を持つ学生が増えていきました。
Starting with this class, more students became interested in Japanese culture.
この文では、授業をきっかけにして、その後、興味を持つ学生が増えていったことが表されています。
そのため、「〜を皮切りに」が自然です。
× この授業を皮切りに、たくさんの学生が教室に入って来ました。
〇 授業が始まると、たくさんの学生が教室に入って来ました。
Once the class started, many students entered the classroom.
この文では、「学生が教室に入って来た」だけで、出来事が大きく広がっていく感じがありません。
そのため、「〜を皮切りに」を使うのは不自然です。
②「〜を始め」は、AとBが同じグループである必要がある
「〜を始め」は、AがBの中に含まれているときに使います。
[例]
〇 日本を始め、多くの国が会議に参加します。
Many countries, including Japan, will participate in the conference.
この場合、「日本」は「国」の1つなので自然です。
× 日本を始め、多くの会社が会議に参加します。
〇 日本企業を始め、多くの会社が会議に参加します。
Many companies, including Japanese companies, will participate in the conference.
「日本」は国ですが、「会社」ではありません。
AとBのグループが違うため、不自然です。
まとめ
[Aを皮切りにB]
- Aを最初として、その後Bが続くことを表す。
- Aをきっかけにして、物事が広がっていくときに使う。
- ポイント:始まり・展開・広がり。
- Aには、物事が広がるきっかけとなる出来事や場所などが入る。
- Bには、Aのあとに続く展開や広がりが入る。
[Aを始めB]
- Aを代表的な例として挙げる表現。
- A以外にも、同じグループのものがあることを表す。
- ポイント:代表例・例示・同じグループ。
- Aには、グループの中の代表的なものが入る。
- Bには、Aを含む広い範囲を表す言葉が入る。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. を始めとして
この会議にはB社を始めとして、多くの会社が参加する予定です。
Many companies, including Company B, are scheduled to participate in this conference.
*B社を例の代表として、その他の会社を表しているので「を始めとして」が正解です。
A. を皮切りに
彼女はフランスを皮切りに、アメリカでも活動を始めました。
She began her activities in France and later expanded to the United States.
*フランスから始まり、活動が広がっているので「を皮切りに」が正解です。
A. を始めとして
わたしの会社には中国人を始めとして、色々な国の人が働いています。
The recent international conference has prompted the world to start considering peace.
*中国人を代表的な例として、色々な国の人が働いていることを表しているため、「を始めとして」が正解です。
A. を皮切りに
彼はこの作品を皮切りに、もっと有名になっていくでしょう。
He will likely become even more famous, starting with this work.
*この作品を最初のきっかけとして、その後さらに有名になっていくことを表しているため、「を皮切りに」が正解です。
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