JLPT N2文法 – 「〜てでも」と「〜てまで」の違い

目次
1. 「〜てでも」と「〜てまで」の違い
2. AてでもB
3. AてまでB
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「〜てでも」と「〜てまで」の違いは何ですか?
A: 「〜てでも」は希望や目的を実現するために強引な手段をとることを表し、「〜てまで」はある目的のために常識を超えた極端な行動をすることを表します。
AてでもB (JLPT N2)
[意味]
希望や目的を実現するために、強引な手段をとってでも実現したいという強い気持ちを表す
[ルール]
[V] 動詞て形+でも
[例]
この仕事は徹夜してでも終わらせます。
I’ll finish this work even if I have to stay up all night.
ここのラーメンはとても有名なので、長時間並んででも食べたいです。
This ramen shop is so famous that I want to eat there even if I have to wait in a long line.
大好きな歌手のコンサートなので、何としてでもチケットを手に入れたいです。
Since it’s a concert by my favorite singer, I want to get a ticket no matter what it takes.
Aには「極端な手段」、Bには「話し手が実現したい欲求や希望」が入ります。
[例]
高いお金を払ってでも、新しいスマホを買いたいです。
I want to buy a new smartphone even if I have to pay a lot of money.
⇒「お金をたくさん払う」という手段をとっても、新しいスマホを手に入れたいという強い欲求を表しています。
大事な試験なので、体調は悪いけれど、無理をしてでも受験したいです。
Since it’s an important exam, I want to take it even though I’m not feeling well.
毎日残業してでも、このプロジェクトを成功させたいです。
I want to make this project successful even if I have to work overtime every day.
[よく使う表現]
手段を問わずに目的を達成したいときには、「何としてでも」「どんな手を使ってでも」という表現がよく使われます。
[例]
富士山のご来光は何としてでも見たいね。
I really want to see the sunrise from Mt. Fuji no matter what it takes.
どんな手を使ってでも、この問題を解決したいです。
I want to solve this problem no matter what means I have to use.
AてまでB (JLPT N2)
[意味]
ある目的のために、普通はしないような極端な状況や行動を選ぶことを表す
[ルール]
[V] 動詞て形+まで
[例]
親から借金してまで、新しいスマホを買いました。
I bought a new smartphone even though I had to borrow money from my parents.
無理をしてまで、働こうと思いません。
I don’t want to work to the point of overexerting myself.
人を傷つけてまで、地位を手に入れたいとは思わないです。
I don’t want to gain a high position by hurting others.
Aには「一般的にはしないような極端な行動」、Bには「話し手の意志・主張・判断・評価」が入ります。Aの程度が大きいため、多くの場合、そこには驚きやあきれなどの否定的な気持ちが含まれます。
[例]
高齢者をだましてまで、お金がほしいんですか。
Do you really want money so much that you would deceive elderly people?
⇒「高齢者にうそをつく」という非常識な行為に対する、話し手の批判的な主張を表しています。
時間を無駄にしてまで、ここで過ごしたくないです。
I don’t want to spend time here to the point of wasting it.
体を壊してまで働くなんて、やりすぎだよ。
Working to the point of ruining your health is just going too far.
比べてみよう
次の文では、どちらの表現がふさわしいでしょうか。
[例]
①怪我をしてでも、試合に出たいです。
②怪我をしてまで、試合に出たいです。
正解は①です。
「AてでもB」は、Bに話し手の願望や強い意志が述べられるときに使われます。肯定的な気持ちを込めて「どうしても実現したい」という意志を表すため、この文では①が自然です。
では、次の文ではどうでしょうか。
[例]
①カンニングしてでも、合格したいと思いません。
②カンニングしてまで、合格したいと思いません。
正解は②です。
「AてまでB」は、常識を超えた極端な行動を取り上げ、それに対する否定的な主張や判断を表すときに使われます。
この文では「カンニング」が非常識な行為であり、それを否定する気持ちが含まれているため、②がふさわしいです。
まとめ
[AてでもB]
- Aには「極端な手段」が入り、Bには「話し手が実現したい欲求や希望」を表す。
- また、手段を問わずに目的を達成したいときには、「何としてでも」「どんな手を使ってでも」といった表現がよく使われる。
- 肯定的な希望や強い願望を表すときに使われる。
[AてまでB]
- Aには「普通はしないような極端な行動・程度」が入り、Bには「話し手の意志・主張・判断・評価」を表す。
- Aの程度が大きいため、そこには驚きやあきれなどの否定的な気持ちが込められる。
- 常識を超えた行動に対する否定的な意思や批判的な主張を述べるときに使われる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 借りてまで
お金を借りてまで、その高級時計を買う意味はあるの?
Is it really worth buying that expensive watch even if you have to borrow money?
*「人から借金をする」という普通ではしない行動を取り上げ、「本当に意味があるのか」という話し手の批判を表しているため、「てまで」が正解です。
A.ついてまで
うそをついてまで、学校を休むのは良くないよ。
It’s not good to skip school by lying.
*「うそをつく」という非常識な行動に対して、「良くない」という否定的な評価を述べているため、「てまで」が正解です。
A. してでも
何としてでも、日本に行きたいです。
I want to go to Japan no matter what it takes.
*手段を問わず願いを実現したいという強い気持ちを表しているため、「てでも」が正解です。
A.してでも
徹夜してでも、このレポートを終わらせます。
I’ll finish this report even if I have to stay up all night.
*「レポートを終わらせる」という目的を達成するための強い意志を表しているため、「てでも」が正解です。
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