JLPT N1・N2語彙 – 「揺らす」「揺する」「揺さぶる」の違い

目次
1. 「揺らす」「揺する」「揺さぶる」の違い
2. 揺らす
3. 揺する
4. 揺さぶる
5. 比べてみよう
6. まとめ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「揺らす」「揺する」「揺さぶる」の違いは何ですか?
A: いずれも「物を動かして揺れる状態にする」という点では共通していますが、力の強さや表現されるニュアンスには違いがあります。
揺らす (JLPT N2)
[意味]
物に軽く触れたり、力を加えたりして、揺れの状態を起こすこと
[例]
そよ風がカーテンを揺らしています。
A gentle breeze is swaying the curtain.
母親がゆっくりとゆりかごを揺らしています。
The mother is gently rocking the cradle.
3つの中で最も中立的で、主に「軽い揺れを起こす」というイメージで使われます。
大きな変化や強い影響を与えるのではなく、優しく自然な動きを表すことが多いです。
[例]
風が木の枝を揺らしています。
The wind is swaying the tree branches.
子供がブランコを揺らして遊んでいます。
A child is playing by rocking the swing.
赤ちゃんを抱っこして揺らすと、安心したように寝てしまいました。
When I held and gently rocked the baby, the baby fell asleep peacefully.
揺する (JLPT N1)
[意味]
手でしっかり物をつかみ、やや強い力を加えて揺れを起こすこと
[例]
なかなか起きない息子を揺すって起こしました。
I shook my son who wouldn’t wake up and got him out of bed.
木にボールが乗ってしまったので、揺すって落としました。
Since the ball got stuck in the tree, I shook the tree to make it fall.
「揺らす」よりも力が入り、対象物を小刻みに揺らすイメージが強い動詞です。
[例]
箱を揺すって中身を確認しました。
I shook the box to check what was inside.
⇒ 上下に箱を振るような動作です。
地震が起きたので、夫の肩を揺すって必死に起こしました。
When the earthquake happened, I shook my husband’s shoulder desperately to wake him up.
⇒ 夫の肩を強くもって、小刻みに動かす揺らし方です。
長い棒で枝を揺すって、バドミントンの羽を落としました。
I shook the branch with a long stick to make the badminton shuttle fall.
揺さぶる (JLPT N1)
[意味]
①(物理的)強い力を加えて揺れを起こし、対象物を動かすこと
②(心理的・比喩的)気持ちや精神を動かして動揺させること、あるいは強い感動や深い印象を与えること
[例]
柿の木を揺さぶって実を落としました。(①)
I shook the persimmon tree and the fruit fell. (①)
彼の一言で心が揺さぶられました。(②)
My heart was shaken by his words. (②)
物理的に使う場合は、大きな力で対象全体を揺らそうとする点に特徴があり、その結果として対象物に影響や変化を与えることが多いです。
[例]
りんごを落とそうと木を揺さぶりました。
I shook the apple tree to make the apples fall.
⇒ りんごの木全体を大きな力で揺らして、対象物「りんご」を落とします。
居眠りしている友達を揺さぶって起こしました。
I shook my dozing friend to wake him up.
⇒ 友達を大きく揺らして、寝ている友達を起こすという変化が伴います。
比喩的に使う場合は、人の心に強く働きかけ、動揺や深い感動を与えることを表します。物理的な用法と同じく「大きな影響を与える」という点が共通しています。
[例]
震災のニュースは全国民の心を揺さぶりました。
The news of the earthquake shook the hearts of the entire nation.
⇒「動揺させた」と同じような意味で、人々の心に大きな衝撃を与えたということです。
彼の日本の未来を真摯に訴えるスピーチは聴衆の心を強く揺さぶりました。
His speech, sincerely appealing for Japan’s future, deeply moved the audience’s hearts.
⇒ 聞き手の心に深い感動を与えたことを描写しています。
比べてみよう
ここで「揺らす」「揺する」「揺さぶる」のイメージを整理してみましょう。
揺らす:中立的で軽い揺れを起こす
揺する:対象物をしっかり掴み、やや強めに小刻みに揺らす
揺さぶる:対象全体を大きな力で揺らし、影響や変化を与える
では、次のような場合、どの動詞が一番ふさわしいでしょうか。
[例]
母親は気持ちよさそうに寝ている赤ちゃんを(①揺らして・②揺すって・③揺さぶって)います。
正解は①です。
赤ちゃんを起こす必要はなく、優しく安心させるように動かしているので「揺らす」が適切です。
では、次のような場合、どちらがふさわしいでしょうか。
[例]
①枝を揺すって木の実を落としました。
②枝を揺さぶって木の実を落としました。
正解は①です。
枝は木の一部分なので「揺する」がふさわしい表現です。小刻みに枝をガサガサと動かす様子が表されます。
では次のような場合、ニュアンスの違いは何でしょうか。
[例]
①木を揺すって木の実を落としました。
②木を揺さぶって木の実を落としました。
どちらも自然な文ですが、②揺さぶるは①揺するに比べて荒く大きな力で木全体を揺らしている描写です。また対象物「木の実」を落とすことが強調されます。
まとめ
[揺らす]
- 3つの中で最も中立的で、優しい力を加える。
- 対象物に大きな影響を与えることは少なく、軽い揺れを表す。
[揺する]
- 「揺らす」よりも強めの力で、対象物をしっかり掴んで小刻みに動かす。
- 部分的に揺らして影響を与えるニュアンス。
[揺さぶる]
- 物理的にも心理的にも使える表現。
- 【物理的】対象全体を大きな力で揺らし、その結果として影響や変化を与えることを強調。
- 【心理的】心を動揺させたり、強い感動や深い印象を与えたりすることを表す。比喩的表現であっても「人の心に大きな変化を与える」という点が共通している。
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