JLPT N2文法 – 「〜ことだ」の2つの使い方

目次
1. 「〜ことだ」の2つの使い方
2. ①感慨
3. ②助言・命令
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q: 「〜ことだ」はどんなときに使いますか?
A: 「〜ことだ」には大きく分けて2つの使い方があり、①驚きや感動を強調する「感慨」と、②相手にアドバイスや注意を与える「助言・忠告」として用いられます。
①感慨 (JLPT N2)
[意味]
話し手の驚きや感動を強調する表現
[ルール]
[A] い形容詞+ことだ
[Na] な形容詞+ことだ
[よく使う表現]
ありがたい・うれしい・めでたい・喜ばしい・素晴らしい・残念・情けない・ひどい など
[例]
全然知らない私を助けてくれるなんて、ありがたいことです。
It is truly fortunate that someone helps me even though they don’t know me at all.
世界中の人が協力し合えるなんて、すばらしいことだ。
It is wonderful that people all over the world can cooperate with each other.
N1に合格するのは大変なことだ。
Passing N1 is a very difficult thing.
「〜ことだ」は、ある事実や出来事に対して驚きや感動の気持ちを強く込めるときに使います。
意味としては「本当に〜だ」「まったく〜だ」に近く、肯定的な感情にも否定的な感情にも用いることができます。
[例](肯定的)
このプロジェクトの立ち上げには多くの人に助けてもらった。本当にありがたいことだよ。
I received help from many people when starting this project. It is truly something to be grateful for.
⇒ 大勢の人達に感謝の気持ちを感情を込めて表しています。
子どものユニークな発想は大人には思いつかない。おもしろいことだ。
A child’s unique ideas are things that adults could never come up with. It is really interesting.
[例](否定的)
人の努力を笑うとは、ひどいことだ。
To laugh at someone’s effort is a terrible thing.
もう10年も会っていないとは、信じられないことだ。
Not having seen each other for ten years is unbelievable.
②助言・命令 (JLPT N2)
[意味]
目上の人が目下に意見や判断を助言や忠告するときに使う
[ルール]
[V] 動詞辞書形/ない形+ことだ
[例]
風邪をひいたら、薬を飲んで早く寝ることだ。
If you catch a cold, take some medicine and go to bed early.
人の悪口は言わないことだ。
Do not speak ill of others.
単語をたくさん覚えるには、何度も同じ言葉を使うことだ。
To memorize many words, use the same words repeatedly.
「〜ことだ」は、目上の人が目下の人に助言や忠告を与えるときに使います。意味は「〜したほうがいい」「〜しないほうがいい」に近く、命令に近い響きを持ちます。そのため、後輩や子どもなどに使うのは自然ですが、目上の人には使えないので注意が必要です。
[例]
人の話は最後まで聞くことだ。
Listen to people’s stories until the end.
⇒「人の話を最後まで聞くべきだ」という忠告です。
仕事を早く覚えたいなら、先輩のやり方をよく見ることだ。
If you want to learn your job quickly, watch carefully how your seniors do things.
ダイエット中なら、夜遅く食べないことだ。
If you are on a diet, don’t eat late at night.
もっと上のレベルを目指したいなら、努力を怠らないことだ。
If you want to aim for a higher level, do not neglect your efforts.
比べてみよう
次の文は「感慨」と「助言・忠告」のどちらの用法でしょうか。
[例]
① いい話には裏があるから、すぐに信じないことだ。
② こんな素晴らしい自然が残っているなんて、信じられないことだ。
正解は、①が「助言・忠告」、②が「感慨」です。
①は「いい話には裏がある」という判断をもとに、聞き手に「信じないほうがいい」とアドバイスをしています。
②は「素晴らしい自然が残っている」という事実に対して、驚きや感動の気持ちを表しています。
さらに、動詞の違いにも注目しましょう。「信じる」は意志的な行為を表す動詞で、「助言・忠告」の文に使われています。一方、「信じられない」は自然に湧き上がる感情を表すため、「感慨」の文に適しています。
まとめ
「〜ことだ」の使い方は2つ
[①感慨]
- 話し手がある事実や出来事に対して驚いたり感動したりしたときに、強く感情を込めて言うときの表現。
- 感情を表す言葉と結びついて、「本当に~だ」「まったく~だ」という意味合いで使う。
- 肯定的・否定的な感情を表すことができる。
[②助言・忠告]
- 目上の人が目下の人に、個人の意見や判断を助言や忠告として言うときに使う。
- 「したほうがいい・しないほうがいい」という意味合いで、上からものを言うような表現で後輩や子どもなどに用い、目上の人には使えないので注意。
関連記事
▼メールマガジンに登録▼
日本語学習のヒントを無料で受け取ろう!








