よく似た複合動詞の意味と用法:「付き合う・付き添う」「追い抜く・追い越す」

目次
1. よく似た複合動詞の意味と用法
2. 複合動詞とは?
3. 付き合う VS 付き添う
4. 追い抜く VS 追い越す
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q: 「付き合う・付き添う」や「追い抜く・追い越す」など、よく似た動詞の違いがよくわかりません。
A: これらは、二つの動詞や語が組み合わさってできた「複合動詞」です。前の語が同じでも、後ろの語によって意味が大きく変わるのが特徴です。意味の違いを理解して使い分けられるようになると、表現の幅がぐんと広がります。
複合動詞とは?
複合動詞とは、二つの語(主に動詞)を組み合わせてできた動詞のことです。
前の語が「動作の内容」を、後ろの語が「方向・結果・継続・開始・完了・意図」などの意味を表し、一つの動詞では表せない微妙な意味やニュアンスを表現できます。
[特徴]
・前の動詞と後ろの動詞が合わさって、一つのまとまった動作を表す
・同じ「前の語」でも、後ろに来る語によって意味が大きく変わる
・日常会話からビジネスシーンまで、幅広く使われる
よく使われる複合動詞(前の語が同じ複合動詞)
| 複合動詞 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 言い出す | 自分から話を切り出す | 会議が始まっても、誰も新しい提案を言い出さなかった。 |
| 言い切る | 自信を持ってはっきり言う | それが正しいとは言い切れない。 |
| 取り上げる | 話題として扱う/手に取って扱う | ニュース番組でその事件が大きく取り上げられた。 |
| 取り締まる | 違反や犯罪行為を規制する | 警察が違法駐車を厳しく取り締まっている。 |
| 押し通す | 反対されても自分の意見を貫いて実行する | 彼は自分の意見を最後まで押し通した。 |
| 押し寄せる | 一度に勢いよく大量にやってくる | 台風の影響で、高波が岸に押し寄せてきた。 |
| 立ち上がる | 座っていた状態から立つ/新たに始める | 市民たちが新しい運動を立ち上げた。 |
| 立ち直る | 困難・失敗・ショックなどから回復する | 失恋のショックから立ち直る には時間がかかった。 |
このように、複合動詞は文の中で自然な流れを作りながら、より正確で豊かな表現を可能にしてくれます。
付き合う VS 付き添う
この記事では特に、「付き合う・付き添う」や「追い抜く・追い越す」など、見た目は似ていても意味が異なる複合動詞に注目し、使い分けのポイントを詳しく解説します。
[付き合うの意味]
① ある人と親しい関係を築く
② 恋人として交際する
③ 義理や社交的な理由から、誰かと行動をともにする
[例]
近所の人と親しく付き合うことで、よいコミュニティが生まれました。(①)
A good community was created by building friendly relationships with the neighbors.
彼と付き合って3年になります。(②)
I’ve been dating him for three years.
本当は行きたくなかったけど、姉の買い物に付き合いました。(③)
I didn’t really want to go, but I went shopping with my sister.
「付き合う」は、「付く(離れずにいる)」と「合う(ともにする)」が組み合わさってできた複合動詞です。
このため、「人との交友関係」や「行動をともにすること」を意味します。文脈によって意味が異なるため、使い分けに注意が必要です。
[例]
あの会社とは長く付き合っています。
We’ve been doing business with that company for a long time.
⇒ ビジネス上の継続的な関係を表しています。
A:今日、買い物に付き合ってよ!
B:えー、君に付き合うと荷物を持たされるからな。
A: Come shopping with me today!
B: Ugh, when I go with you, I always end up carrying the bags.
⇒ ここでは行動をともにする、という意味で使われています。
[付き添うの意味]
助けや配慮が必要な人のために、そばにいて行動をともにする
[例]
祖母が病院へ行くのに付き添いました。
My grandmother needed to go to the hospital, so I went with her to support her.
小さなお子様には、大人が付き添ってください。
An adult should accompany small children.
「付き添う」は、「付き(そばにいる)」と「添う(離れずに寄り添う)」が組み合わさった複合動詞です。 この言葉は、支援や配慮が必要な人のそばについて行動をともにすることを意味します。 「付き合う」が対等な立場での同行を指すのに対し、「付き添う」は助ける立場として同行する点に違いがあります。
[例]
高齢の父に付き添って、役所へ手続きに行きました。
I went to the city office with my elderly father to help him with the paperwork.
⇒ 父一人では不安があるため、手助けをする目的で同行しました。
修学旅行では、教員が生徒に付き添って移動します。
During school trips, teachers accompany the students when they move from place to place.
⇒ 子どもたちの安全や行動を見守るため、大人がそばにいる必要があります。
追い抜く VS 追い越す
[追い抜くの意味]
① 後ろから追いかけて、前に出る
② 能力や成績などで、他の人や目標を上回る
[例]
マラソンで前を走っていた選手を追い抜きました。(①)
I passed the runner who had been ahead of me in the marathon.
気づかないうちに、弟に成績を追い抜かれていました。(②)
Before I realized it, my younger brother had surpassed me in grades.
「追い抜く」は、後ろから追いかけて相手の前に出ることを表します。 スポーツなどの競争の場面でよく使われ、前方にいる相手をスピードで上回る状況に適しています。 また、学力や技術などで他人や目標を上回るときにも使われます。
[例]
山田選手が、青木選手をすごいスピードで追い抜こうとしています。
Yamada is trying to pass Aoki at an incredible speed.
⇒ マラソンなどの競技で、相手より速く前に出ようとしている様子です。
みきちゃんと同じくらいの成績だったのに、いつの間にか追い抜かれていました。
I used to have about the same grades as Miki, but before I knew it, she had passed me.
⇒ 成績で自分より前に行かれてしまった状況を表しています。
[追い越すの意味]
① 同じ方向に進んでいる相手を通り過ぎて前に出る
② 能力や立場などで他の人を上回る
[例]
後ろにいたはずの車に追い越されました。(①)
I was overtaken by a car that had been behind me.
あの新人が先輩を追い越すのも時間の問題ですね。(②)
It’s only a matter of time before that new employee overtakes the senior one.
「追い越す」は、同じ方向に進んでいる対象を追いかけて、通り過ぎて前に出ることを表します。
「追い抜く」と似ていますが、前に出るという動きそのものや位置の変化がより強調されるのが特徴です。
車や自転車、競争などのスピード感のある場面でよく使われます。また、能力・技術・成績などの面で他者を上回る場合にも用いられます。
[例]
黒い車がすごいスピードで、わたしの車を追い越しました。
The black car sped past mine at incredible speed.
⇒ スピードのある動きで、前へ出たことを表しています。
後輩に成績を追い越されそうで焦っています。
I’m feeling nervous because it looks like my junior is about to surpass me in grades.
⇒ 能力や成果の面で、自分より上に行かれそうな状況です。
「追い抜く」と「追い越す」は非常に似た意味で使われますが、以下のような違いがあります:
<スピード面>
① 後ろにいた車に追い抜かれた。
I was passed by a car that had been behind me.
② 後ろにいた車に追い越された。
I was overtaken by a car that had been behind me.
⇒ どちらも意味はほぼ同じですが、②は「前に出たこと」がやや強調されています。
<能力面>
① 後輩はわたしを追い抜かして、マネージャーになった。
My junior passed me and became the manager.
② 後輩はわたしを追い越して、マネージャーになった。
My junior overtook me and became the manager.
→ ①は「追いついて抜いた」こと、②は「追いついたうえで前に出た」印象が強くなります。
まとめ
「付き合う・付き添う」「追い抜く・追い越す」などの複合動詞は、前の語が同じでも後ろの語によって意味が大きく変わる。
それぞれの動詞が持つ微妙な違いを正しく理解することで、より自然で正確な日本語表現が可能になる。
| 意味 | 使い方の特徴 | ニュアンス | |
|---|---|---|---|
| 付き合う | ① 親しい関係になる ② 恋人として交際する ③ 義理で行動をともにする | 人間関係・恋愛・社交の場面で使う | 「付く」+「合う」=共に時間を過ごす。広い意味で交友・協力などを表す |
| 付き添う | 助けやサポートのためにそばにいる | 介護・看病・子供の世話などで使う | 「添う」は「そばにいる」の意。手助けが前提で、助けが必要な相手に対して使う |
| 意味 | 使い方の特徴 | ニュアンス | |
|---|---|---|---|
| 追い抜く | ① 前の対象を通り過ぎて前に出る ② 能力・技術などで上回る | スポーツや成績など、競争的な場面で使う 比較的速いスピードで超えて、位置の移動(前方に出たこと)を強調する | 越えてより前方へ進み、距離・差を感じさせるイメージ |
| 追い越す | ① 前を行く対象を抜いて前に出る ② 能力・技術などで上回る | スポーツや成績など、競争的な場面で使う | 追って前方へ出るイメージ |
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