JLPT N4文法 – 受身形・使役形・使役受身形の使い方完全ガイド③

目次
1. 受身形・使役形・使役受身形の使い分け
2. 使役受身形の作り方
3. 使役受身の意味
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 受身形・使役形・使役受身形がいつまで経ってもよく理解できません。
A: 受身形・使役形・使役受身形は、日本語学習者にとって複雑な文法のひとつです。
ここでは使役受身形について説明をしていきます。
使役受身形の作り方
使役形と受身形が混ざったような活用のため複雑ですが、作り方を確認しましょう。
1グループ:ない形+せられる/される * 現代では「される」のほうがよく使われます
2グループ:動詞語幹+られる
辞書形 | 受身形 | 使役形 | 使役受身形 |
読む | 読まれる | 読ませる | 読ませられる/読まさせられる |
かく(書く・描く) | かかれる | かかせる | かかせられる/かかさせられる |
泣く | 泣かれる | 泣かせる | 泣かせられる/泣かさせられる |
食べる | 食べられる | 食べさせる | 食べさせられる |
いる | いられる | いさせる | いさせられる |
する | される | させる | させられる |
来る | 来られる | 来させる | 来させられる |

受身形について詳しく知りたい方は
この記事を読んでください。

使役形について詳しく知りたい方は
この記事を読んでください。
使役受身の意味
使役受身形は、相手からの命令や指示を受け、嫌々ながらも話し手がその行為を受け入れさせられたり、強制されるときに使います。
[例]
お酒が嫌いなのに、無理やり飲まされました。
Even though I don’t like alcohol, I was forced to drink.
母親に歯医者に行きたくないと言ったのに、行かされました。
Even though I told my mother I didn’t want to go to the dentist, I was made to go.
また、命令や指示に限らず、相手の行為が話し手にとって不快な結果をもたらした場合にも使われます。
[例]
子供のころは兄とけんかして、よく泣かされました。
When I was a child, I often fought with my older brother and ended up crying a lot.
⇒ 兄とのけんかでよく泣いたのは、話し手にとって嫌な思い出だということです。
友達が寝坊して、30分も待たされました。
My friend overslept, and I was kept waiting for 30 minutes.
⇒ 友達の寝坊のせいで、30分間待たされたことを不快に感じたということです。
比べてみよう
ここで、受身形・使役形・使役受身形の違いを比べてみましょう。
次の文(a〜c)に合うイラスト(①〜③)はどれでしょうか。
[例]
a.弟にパンを食べられました。
b.弟がパンを食べたいと言うので、食べさせました。
c.弟においしくないパンを食べさせられました。



正解は a① b③ c②です。
aは受身形、bは使役形(許可)、cは使役受身形の文章であることを確認しましょう。
a.弟にパンを食べられました。
My little brother ate my bread.
b.弟がパンを食べたいと言うので、食べさせました。
My little brother said he wanted to eat the bread, so I let him eat it.
c.弟においしくないパンを食べさせられました。
I was made to eat bread that didn’t taste good by my little brother.
では、次の例では、どの表現がふさわしいか考えてみましょう。
[例]
①寝てばかりいたら、母親に家のことを(手伝われました・手伝わせました・手伝わされました)。
②子供が寝てばかりいるので、家のことを(手伝われました・手伝わせました・手伝わされました)。
①は「手伝わされました」(使役受身形)、②は「手伝わせました」(使役形:強制)が正解です。
①寝てばかりいたら、母親に家のことを手伝わされました。
Because I was just sleeping, my mother made me help with the housework.
②子供が寝てばかりいるので、家のことを手伝わせました。
Because my child was just sleeping, I made them help with the housework.
①は話し手である子供が母親に命令されて嫌な気持ちで行ったことを表し、②は母親(話し手)が子供に強制的に指示をしたという違いがあります。
まとめ
使役受身形は、次の2つの意味を表す
- ① 相手から命令や指示を受け、話し手が嫌々ながらその行為を受け入れたり、強制的に行動させられるとき。
- ② 命令や指示に限らず、相手の行為によって話し手が心理的に不快に感じるとき。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 練習させられました
わたしが学生のとき、学校で何度も敬語を練習させられました。
When I was a student, I was made to practice honorific language at school many times.
*相手の指示によって話し手が動いているため、「練習させられました」(使役受身形)が正解です。
A. 待たせて
待たせてごめんね。
Sorry for making you wait.
*話し手の行為が原因で相手が待つことになり、責任を感じて謝っているので「待たせて」(受身形:責任)が正解です。
A. 走らされました
先生に運動場を走らされました。
The teacher made me run in the schoolyard.
*相手からの指示で話し手が動いているので「走らされた」(使役受身形)が正解です。
A. 枯らせてしまいました
花に水をやり忘れて、枯らせてしまいました。
I forgot to water the flowers and ended up letting them wither.
*放置したことで花が枯れる結果になったので「枯らせてしまった」(使役:放置)が正解です。
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