JLPT N2・N5語彙 -「思い出す」「思いつく」「思い浮かぶ」の違い

目次
1. 「思い出す」「思いつく」「思い浮かぶ」の違い
2. 思い出す
3. 思いつく
4. 思い浮かぶ
5. 比べてみよう
6. まとめ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「思い出す」「思いつく」「思い浮かぶ」の違いは何ですか?
A: いずれも「頭や心に何かが現れる」という共通点がありますが、使い方やニュアンスがそれぞれ異なります。
思い出す (JLPT N5)
[意味]
忘れていた過去の出来事や記憶が心によみがえること
[対象となるもの]
人・出来事・場所・名前など、具体的な記憶に結びついたもの
[例]
この料理を食べると、母のことを思い出します。
When I eat this dish, it reminds me of my mother.
旅行中の出来事を思い出して、絵に描きました。
I remembered something that happened during my trip and painted a picture of it.
あ、今日用事があったのを今思い出しました。
Oh, I just remembered that I had something to do today.
過去の記憶を心や頭の中に呼び戻すときに使います。主に、人・出来事・場所など、具体的な記憶と結びつくことが多く、忘れていたことを自分の意思で思い起こすようなイメージです。思い出すきっかけとなる物や出来事がある場合もよく見られます。
[例]
この写真を見ると、若かったころを思い出すよ。
When I look at this photo, it reminds me of when I was young.
あの人、どこかで会ったことがある気がする…。あ、思い出した!A社の山田さんだ!
I feel like I’ve met that person somewhere before… Oh, I remember now! It’s Mr. Yamada from Company A!
A「えっ、ケータイがない!」
B「最後に使った場所をよく思い出してみて!」
A「えーっと…、あっ、思い出した!図書館だ!」
A: “Oh no, my phone is gone!”
B: “Try to remember where you last used it!”
A: “Umm… Oh, I remember! It was at the library!”
思いつく (JLPT N2)
[意味]
ある考えやアイデアがふと心に浮かぶこと
[対象となるもの]
アイデア・方法・答えなど、創造的・解決的な内容
[例]
なかなかいいアイデアが思いつかないな。
I just can’t come up with a good idea.
いい方法を思いついたよ。試してみよう。
I came up with a good method. Let’s give it a try.
テスト中、急に答えが思いついて安心した。
During the test, the answer suddenly came to me and I felt relieved.
新しい考えやアイデアが、ふと頭に浮かんだときに使います。対象となるのは、解決策や工夫、方法など、具体的で創造的な内容が多く、問題解決や発想の転換に結びつくことがよくあります。意図せず自然に浮かぶ点が特徴です。
[例]
いいアイデアを思いついたよ!これなら、この問題を解決できそうだ。
I came up with a great idea! I think this can solve the problem.
なにか思いついたアイデアがあったら、教えてね。
If you come up with any ideas, let me know.
いい方法を思いついて試してみたら、うまくいったよ。
I came up with a good method and tried it out—it worked well.
思い浮かぶ (JLPT N2)
[意味]
情景や感情、記憶などが自然と心に浮かんでくること
[対象となるもの]
イメージ・風景・人の顔など、感覚的・抽象的なもの
[例]
なぜかふと妻の顔が思い浮かびました。
For some reason, my wife’s face suddenly came to mind.
「日本」と聞いて、何が思い浮かびますか?
When you hear “Japan,” what comes to mind?
この絵を見ると、昔ことが思い浮かびます。
When I look at this painting, old memories come back to me.
心の中にふと浮かんでくる情景や感情、記憶などを表すときに使います。対象となるのは、イメージ・風景・人の顔・気持ちなど、抽象的で感覚的なものが多く、「思い出す」よりもぼんやりとした印象を伴います。
[例]
このオレンジ色を見ると、海辺の夕陽が思い浮かびます。
When I see this shade of orange, a sunset by the seaside comes to mind.
この曲を聞いていると、あのときの悲しい気持ちが思い浮かんできます。
Listening to this song brings back the sad feelings I had at that time.
子供たちの笑顔を思い浮かべると、「よし、がんばろう」と思えるんです。
When I picture the children’s smiling faces, I feel motivated to do my best.
比べてみよう
次のような場合、ふさわしいのはどれでしょうか?
[例①]
会議で新しい企画について話しているとき、急にいいアイデアを____。
①思い出した ②思いついた ③思い浮かんだ
⇒正解は②です。
ここでは「新しいアイデアが頭に浮かんだ」状況なので、「思いついた」が自然です。
[例②]
この写真を見ると、学生時代の友だちの笑顔が____。
①思い出す ②思いつく ③思い浮かぶ
⇒正解は③です。
「写真」というきっかけで、心にぼんやりと浮かぶ情景やイメージなので、「思い浮かぶ」がふさわしいです。
[例③]
財布を忘れた理由を聞かれて、やっと駅のベンチに置いたのを____。
①思い出した ②思いついた ③思い浮かんだ
⇒正解は①です。
「記憶をよみがえらせた」場面なので、「思い出した」が一番適しています。
まとめ
使い方 | 主な対象 | 他の語との違い | |
思い出す | 忘れていた過去の記憶を心や頭に呼び戻すときに使う | 人・できごと・場所・名前 など | ・一度忘れていたことを意識的に呼び戻すイメージ ・何かがきっかけになることが多い |
思いつく | 新しい考えやアイデアが、ふと頭の中に浮かんだときに使う | アイデア・方法 など新しく具体的なもの | 意図せず現れる創造的・解決的な発想に使う |
思い浮かぶ | 心に自然に浮かんでくる情景や感情、記憶などを表す | 記憶・情景・人の顔など抽象的・感覚的なもの | 「思い出す」よりもぼんやりとした、鮮明ではない印象 |
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