JLPT N2・N3語彙 – 「間違い」と「勘違い」の使い分け

目次
1.「間違い」と「勘違い」の使い分け
2. 間違い
3. 勘違い
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「間違い」と「勘違い」の違いはなんですか?
A: どちらも「誤り」を表す言葉ですが、ニュアンスに違いがあり何に対して、どのように誤ったのかによって使い分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
間違い (JLPT N3)
[意味]
① 正しくないこと、または不正確なこと
② 生活面や業務上で起こる失敗
③ 社会規範や道徳に反する、取り返しのつかない誤り
[例]
この書き方には間違いがあります。(①)
There is a mistake in this way of writing.
間違いは誰にでもあるから、次からがんばろう!(②)
Mistakes happen to everyone, so let’s do better next time!
彼は人生において大きな間違いを犯しました。(③)
He made a serious mistake in his life.
「間違い」は、客観的な観点から見た「誤り」を表す言葉です。主に次のような意味で使われます。
① 正しい基準や事実と異なること
学習面や業務面など、さまざまな場面で用いられます。
[例]
ここの答え、間違いだよ。
The answer here is wrong.
恐れ入りますが、こちらのご住所は間違いのようです。
I’m afraid there seems to be a mistake in this address.
②生活面・業務上での失敗
日常生活や仕事におけるミスや誤りを指します。
[例]
A:この間、発注書に「5」じゃなくて「50」って書いちゃって、ボールペンが50本も届いちゃったんだ。先輩にすごく怒られたよ。
B:誰にでも間違いはあるよ。でも次は気をつけないとね。
A: The other day, I accidentally wrote “50” instead of “5” on the order form, and 50 pens were delivered. My senior got really mad at me.
B: Everyone makes mistakes. But you need to be more careful next time.
⇒ 業務上での失敗について話しています。
A:どうしてこんな間違いに気づかなかったの!?
B:すみません、何度も見直したんですが……。
A: How could you not notice such a mistake!?
B: I’m sorry, I checked it over and over, but…
⇒ こちらも業務上のミスに関するやりとりです。
③社会的・道徳的な誤り
社会的に非難されるような誤りを指します。道徳的な誤りの場合、「間違いを犯す」という表現が使われます。
[例]
彼女は二度と間違いを犯さないように誓いました。
She vowed never to make the same mistake again.
⇒ 道徳的に正しくないことを二度としない、という意味です。
誰かを傷つける嘘は、間違いだと思う。
I believe that telling lies that hurt others is wrong.
⇒ 「嘘をつくこと」は道徳的に良くない行為である、という意味です。
勘違い (JLPT N2)
[意味]
間違って思い込むこと・または思い違いをすること
[例]
会議の時間は9時からだと勘違いしていた!
I mistakenly thought the meeting started at 9 o’clock!
今日は祝日か。平日だと勘違いしてたよ。
I thought today was a holiday, but it turns out it’s a weekday. I completely misunderstood.
わたしは勘違いしやすいから、予定を何度も確認します。
I tend to misunderstand things easily, so I check my schedule multiple times.
「勘違い」は、主観的な観点から生じる「思い込み」や「誤解」を意味します。
「間違い」はさまざまな場面に使われる幅広い言葉ですが、「勘違い」は思い違いという1つの意味しかありません。
[例]
今日は祝日だと思っていたけど、平日だったよ。完全に勘違いしてた。
I thought today was a holiday, but it turned out to be a weekday. I completely misunderstood.
⇒ 今日は平日だと気づかず、祝日だと思い込んでいたということです。
A:彼女も僕のことが好きだと思っていたのに……。
B:それ、勘違いだったの?
A: I thought she liked me too…
B: Was that just a misunderstanding?
⇒ 「それはあなたの思い込みだったの?」という問いかけです。
比べてみよう
「間違い」と「勘違い」は、どちらも「誤り」を表しますが、視点やニュアンスが異なります。
「間違い」は、客観的な事実や正解と異なる場合に使われます。
一方、「勘違い」は、自分の思い込みによる誤認や誤解のみを指します。
具体的な例で比べてみましょう。
[例]
× 今日が病院に行く日だと思ったら、明日だったよ。間違いだった!
I thought today was the day to go to the hospital, but it turned out to be tomorrow. I misunderstood!
◯ 今日が病院に行く日だと思ったら、明日だったよ。勘違いしてた!
I thought today was the day to go to the hospital, but it turned out to be tomorrow. It was a mistake!
⇒ 日にちを本人が思い込んでいたことが原因なので、「勘違い」が自然です。
◯ この計算、答えが違ってるよ。間違いだね。
There’s a mistake in this calculation.
× この計算、答えが違ってるよ。勘違いだね。
There’s a misunderstanding in this calculation.
⇒ 客観的に見て正解と違うので、「間違い」が自然です。
このように、
事実に対して正しくない → 「間違い」
自分の思い込みによる誤り → 「勘違い」
と考えると、使い分けがしやすくなります。
まとめ
[間違い]
- 客観的。
- ① 学習面や業務面など、さまざまな場面で真実や正解と異なるもの
- ② 生活レベルや業務上でのミスや誤り
- ③ 社会的に見て非難されるような道徳的な誤り
[勘違い]
- 主観的。
- 個人的に正しいと信じ込んでいたこと。
- 「思い込み」や「誤解」という同じ意味をもつ。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 間違い
このデータには明らかな間違いがあります。すぐに修正が必要です。
There is an obvious mistake in this data. It needs to be corrected immediately.
*業務上のミスなので、「間違い」が正解です。
A. 勘違い
今日のミーティングは14時からだった。時間を勘違いしてた!
Today’s meeting was actually at 2 p.m. I misunderstood the time!
*時間を思い違いしていたので、「勘違い」が正解です。
A. 間違い
いじめを見て見ぬふりをするのは間違いですよ。
Turning a blind eye to bullying is wrong.
*道徳的な誤りなので、「間違い」が正解です。
A. 勘違い
彼女の誕生日は5月だと思っていたのに、6月だった!ずっと勘違いしていたよ。
I thought her birthday was in May, but it was actually in June. I had been misunderstanding it all along.
*誕生日を別の月だと思い込んでいたので、「勘違い」が正解です。
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