JLPT N2・N3文法 – 「〜たびに」と「〜につけ」の違い

目次
1.「〜たびに」と「〜につけ」の違い
2. 〜たびに
3. 〜につけ
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「〜たびに」と「〜につけ」は同じ意味ですか?
A: どちらも「何かが起こるといつも、毎回~する」という意味を持ちますが、使い方には違いがあります。それぞれの文法には使える場面や感情のこもり方に特徴があり、適切に使い分けることが大切です。
~たびに (JLPT N3)
[意味]
・ある出来事が起こるたびに、毎回同じ行動や現象が起きる
・ある動作をするたびに、いつも同じことを繰り返す
[ルール]
[V] 動詞辞書形+たび(に)
[N] する動詞の名詞+の+たび(に)
[例]
家が古いので台風が来るたびに避難しています。
Because the house is old, we evacuate every time a typhoon comes.
父は旅行するたびに、おみやげを買って帰ってきます。
Every time my father travels, he buys souvenirs and brings them back.
会議のたびに、社員たちは激しい議論を交わします。
At every meeting, the employees engage in heated discussions.
「〜たびに」は「何かをすると、毎回同じ行動や現象が起こる」という意味で使われます。ポイントは、繰り返し起こる出来事や行動に使うという点です。
[例]
彼女は写真を撮るたびに、同じポーズを取ります。
She strikes the same pose every time she takes a photo.
⇒ 写真を撮るとき、毎回同じポーズをとります。(繰り返しの行動)
何度も聞いたのに、その話を聞くたびに笑ってしまいます。
Even though I’ve heard it many times, I can’t help but laugh every time I hear that story.
⇒ 話を聞くと、毎回笑ってしまいます。(繰り返される反応)
~につけ (JLPT N2)
[意味]
ある状況のとき、~という気持ちになる
[ルール]
[V] 動詞辞書形+につけ(て)
[例]
昔の写真を見るにつけ、あの楽しかった時間を思い出します。
Whenever I look at old photos, I remember those happy times.
母の手紙を読むにつけ、涙が出てきます。
Whenever I read my mother’s letters, I can’t help but cry.
彼らの頑張る姿を見るにつけて、自分ももっと努力しなければと思います。
Whenever I see them working hard, I feel that I must try harder too.
「ある状況にふれることで、自然と感情や記憶がよみがえる」という意味で使われます。
ポイントは、感情や思い出が意識せずに心に浮かんでくることです。
特定の出来事やものに触れたとき、心が反応して感情が動くような場面でよく使われます。
[例]
昔の写真を見るにつけ、あの楽しかった時間を思い出します。
Whenever I look at old photos, I remember those happy times.
⇒ 写真を見ると、自然にあの時間が思い出されます。
卒業式で先生が言った言葉を思い出すにつけ、涙があふれます。
Whenever I recall the words my teacher said at the graduation ceremony, I’m filled with tears.
⇒ 先生の言葉を思い出すたびに、毎回涙が出ます。
[慣用表現]
・何かにつけ
・何事につけ
*これらは「〜につけ」を使った慣用表現で、「どんな場合でも」「いつでも」という広い意味を持ちます。通常の「〜につけ」と異なり、意志表現(〜たい、〜しよう など)も後文に使えるのが特徴です。
[例]
彼は何かにつけ、人の悪口を言いたがります。
He always finds some reason to speak badly about others.
⇒ どんな場面でも、すぐに人の悪口を言おうとします。
何事につけ、冷静な判断が大切です。
In all matters, making calm and rational decisions is important.
⇒ どんなことでも、落ち着いて判断することが重要です。
比べてみよう
次のような場合、どちらの表現がよりふさわしいでしょうか。
① この音楽を聴くたびに、昔の恋人を思い出します。
② この音楽を聴くにつけ、昔の恋人を思い出します。
この場合、記憶が自然によみがえる状況なので、①「〜につけ」のほうが適切です。
「〜につけ」は感情や記憶に強く結びついており、文語的でやや詩的な響きを持つ表現です。
一方、②「〜たびに」は口語的で、繰り返される事実に焦点を当てています。単に起こる出来事とその結果を述べているだけで、感情の深さまでは含みません。
では、次のような場合はどうでしょうか。
① 神社に行くたびに、お守りを買っています。
② 神社に行くにつけ、お守りを買っています。
正解は①です。毎回繰り返して行う具体的な行動であり、感情や記憶のよみがえりは関係ありません。
このように、「〜につけ」は「〜たびに」と比べて使用できる場面が限られており、記憶や感情が自然によみがえるときにのみ使われる表現です。
日常の習慣や行動の反復には「〜たびに」がふさわしいといえます。
まとめ
意味 | 文体 | ポイント | |
〜たびに | ・ある出来事が起こるたびに、毎回同じ行動や現象が起きる ・ある動作をするたびに、いつも同じことを繰り返す | 口語的 | ・繰り返しの行動・出来事 ・事実を中心に述べ、あまり感情に焦点を置かない |
〜につけ | ・ある状況のとき、~という気持ちになる | 文語的(堅め、詩的) | ・感情・気持ちの自然なよみがえり ・記憶・感情に関するものについて述べる |
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. につけ
この写真を見るにつけ、懐かしい気持ちになります。
Whenever I see this photo, I feel nostalgic.
*写真を見るたびに自然と記憶がよみがえるため、感情に焦点を当てた「〜につけ」が適切です。
A. たびに
ミスをするたびに、部長にしかられます。
Every time I make a mistake, my boss scolds me.
*ミスをするといつも決まって怒られるという、繰り返しの出来事なので「〜たびに」が自然です。
A. につけ
子どもの成長を見るにつけ、
He always complains about something or other.
*「何かにつけ」という慣用表現です。
A. たびに
海外旅行するたびに、お腹をこわします。
Every time I travel abroad, I get an upset stomach.
*海外旅行のたびに体調を崩すという、繰り 返し起こる事実なので「〜たびに」が適切です。
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