JLPT N3・N5語彙 – 「くらい」と「ほど」は置き換え可能?

目次
1. 「くらい」と「ほど」は置き換え可能?
2. ほど
3. くらい
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「くらい」と「ほど」は使い分けが必要ですか?
A: はい、使い分けが必要です。「ほど」には「程度」と「相対関係」を表す2つの用法があります。
「程度」を表す場合は、「くらい」と言い換えられることもありますが、「相対関係」を表す場合は「くらい」に置き換えることはできません。
ほど (JLPT N3)
[程度を表す場合]
[意味]
〜の程度に達することを表す
[ルール]
[V] 動詞普通形 + ほど
[A] い形容詞 + ほど
[Na] な形容詞 + ほど
[N] 名詞 + ほど
[ポイント]
「くらい」と入れ替え可能な場合が多いですが、「ほど」の方がやや硬い印象があります。
物事の状態や程度がどのくらいなのか、その強さや深さを強調したいときに使われます。
「ほど」の前には比喩的な表現や具体的な例がよく使われ、話し手の意志を表さない動詞や、「〜たい」の形につくことが多いです。
[例]
歩けないほど足が痛いです。
My legs hurt so much that I can’t walk.
お腹が痛くなるほど笑いました。
I laughed so much that my stomach started to hurt.
以前ほど仕事は大変ではありません。
Work is not as tough as it used to be.
医者「どれほど痛いですか?」
患者「歩けないほど足が痛いです。」
Doctor: “How much does it hurt?”
Patient: “It hurts so much I can’t walk.”
*「ほど」を使うとき、「どのほど」とは言えませんが、「くらい」は「どのくらい」「どれくらい」の両方が使えます(口語では「どれくらい」が一般的)。
[相対関係を表す場合]
[意味]
〜すればするほど…になる
[ルール]
[V] 動詞辞書形 + ほど
[A] い形容詞 + ほど
[Na] な形容詞 + ほど
[N] 名詞 + ほど
[ポイント]
この用法では「くらい」への言い換えはできません。
「〜すればするほど…〜になる」という意味で、程度や量の変化が比例関係にあることを表します。
[例]
日本語は勉強するほど難しくなります。
The more you study Japanese, the harder it gets.
駅に近いほど家賃は高くなりますよ。
The closer it is to the station, the higher the rent gets.
仕事は楽なほどいいです。
The easier the job is, the better.
最近は若い人ほど元気がない気がします。
Lately, it feels like the younger people are the ones with less energy.
くらい (JLPT N5)
[意味]
〜の程度に(感覚的な程度や目安、例示などを表す)
[ルール]
[V] 動詞普通形 + くらい
[A] い形容詞 + くらい
[Na] な形容詞 + くらい
[N] 名詞 + くらい/ぐらい
[ポイント]
「くらい」は話し言葉でよく使われ、感覚的・主観的な程度を表す傾向があります。程度を表す「ほど」と入れ替え可能な場合も多いですが、丁寧さやニュアンスがやや異なります。
[例]
倒れそうなくらいおなかがすいています。
I’m so hungry I feel like I might collapse.
お腹が痛くなるくらい笑いました。
I laughed so much my stomach started to hurt.
今朝は7時ぐらいに起きました。
I woke up at around 7 o’clock this morning.
比べてみよう
では、次のような場合、どちらの表現がよりふさわしいと思いますか?
[例①]
米粒ほどの大きさの文字です。
米粒くらいの大きさの文字です。
[例②]
ワインは古いほど価値がある。
ワインは古いくらい価値がある。
正解:①はどちらもふさわしい。②は「ほど」が自然です。
①は、文字が実際に「米粒」ではありませんが、それと同じくらい小さいという比喩的な表現です。
このような場合、「くらい」でも「ほど」でも意味は伝わるため、どちらも使えます(「くらい」の方がやや口語的です)。
②は、「ワインが古くなるにつれて価値が上がる」という相対関係(比例関係)を表しているため、「ほど」を使うのが適切です。「くらい」ではこのような変化の関係は表せません。
まとめ
[ほど]
- 「ほど」には「程度」と「相対関係」の2つの使い方がある。
- 「程度」を表すときは、比喩的な表現や具体的な例のほか、話し手の意志を表さない動詞や「〜たい」の形と一緒に使われることが多い。
- 「相対関係」の「ほど」は、「〜すればするほど…〜になる」という意味で、何かの程度や量に比例して変化が大きくなることを表す。
[くらい]
- 「くらい」にも「程度」を表す使い方があるが、より主観的・感覚的な表現に使われることが多く、話し言葉でよく使われる。
- 「相対関係」を表す文には使えない。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. ほど
外国語は話すほど上手になりますよ。
The more you speak a foreign language, the better you get.
*話すと、比例して上手くなるという相対関係なので「ほど」が正解です。
A. 方法
どのくらい勉強しましたか。
How much did you study?
*「どの」に接続できるのは「くらい」です。
A. どちらでもいい
水も飲めないくらい、のどが痛いです。
水も飲めないほど、のどが痛いです。
My throat hurts so much I can’t even drink water.
*のどの痛さを具体例で表しているので、どちらもふさわしいです。
A. ほど
安いほど物の質は悪くなります。
The cheaper it is, the worse the quality gets.
*安さに比例して物の質が悪くなるという相対関係を表しているので「ほど」が正解です。
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