言葉の使い方に隠れたルール—「僕、何歳?」と「友達たち」

目次
1. 第三者に自称詞は使える?
2. 「僕、何歳?」の使い方
3. 「友達たち」は間違い?
4. 「友」と「友達」の違い
5. まとめ
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7. コメント
Q: 小さい子供に「僕、何歳?」と聞いているのを見たことがあります。「僕」は自称詞ですが、第三者に使うことはできるのでしょうか?
また、同じような使い方をする自称詞はありますか?
A: 大人が「僕、何歳?」と聞くのは、主に男の子に対して使われますが、同じ形で他の自称詞を使うケースはほとんどありません。
「僕、何歳?」
この表現は、大人が男の子の発話「(ぼくは)〇歳」を想定し、それを引用している形です。
つまり、大人が男の子に話しかける際、質問の相手が男の子であることを明確にするために、このような言い方をしています。
[例]
大人:「僕、何歳なの?」
男の子:「3歳。」
Adult: “How old are you?”
Boy: “I’m three years old.”
では、女の子に対して同じように「わたし、何歳?」と聞くことはあるのでしょうか?
実際には、ほとんど使われません。
おそらく「わたし」は男女ともに使えるため対象が広くなり、誰を指しているのかが曖昧になるため、あまり使われないのではないかと考えられます。
女の子に対しては、自称詞を省略して質問するか、特別な呼びかけとして「お嬢さん」や「お嬢ちゃん」を使うことがあります。(※「お嬢ちゃん」は「お嬢さん」よりも子供扱いするニュアンスがあり、やや年配の人が使う傾向があります。)
[例]
大人:「(お嬢さん)、何歳かな?」
女の子:「5歳だよ。」
Adult: “How old are you?”
Girl: “I’m three years old.”
Q: 「友達たち」と言うのは変ですか?
A: 「達」と「たち」はどちらも複数を表すため、重ねて使うことはできません。
「友」と「友達」の違い
[意味]
複数であることを表す
[使い方]
接尾語で、名詞または代名詞の後ろにつける
[よく一緒に使われる言葉]
わたし、ぼく、大人、子供、君など
[例]
わたし達は電車で行きますが、社長は車でいらっしゃるようです。
We will go by train, but the president will go by car.
子供達は公園で遊んでいます。
The children are playing in the park.
僕達のチームはとても強いです。
Our team is very strong.
「友」と「友達」の違い
「友」と「友達」はどちらも「親しい関係にある仲間」を表しますが、「友」は文語的で硬い印象に聞こえるため、日常会話ではほとんど使われません。一方で「友達」は日常会話で頻繁に使います。
[例]
彼は永遠の友です。(書き言葉、文語的)
He is an eternal friend.
わたし達、ずっと友達だよ。(話し
言葉、カジュアル)
We will always be friends.
「友達たち」は変?
「達」はすでに「複数」を意味し、「友」は「親しい仲間」の集合を表します。そのため、「友達」にさらに「たち」を加えると意味が重複してしまい、不自然になります。
日本語では、「友達」は単数・複数の両方を指すことができます。これは「友達」という言葉自体が「友人の集まり」や「交友関係」を示しており、複数で成り立つ概念だからかもしれません。
[例]
今日は友達とカフェに行きました。
Today, I went to a café with a friend.
友達と図書館で勉強します。
I will study at the library with a friend.
⇒ 一人か複数か明確ではありません。
太郎くんはぼくの友達なんだ。
Taro is my friend.
⇒ 一人(太郎くん)だけを指しています。
クラスの友達、みんなでサッカーの練習をした。
I practiced soccer with all my classmates who are my friends.
⇒ 複数人を表しています。
まとめ
[「僕、何歳?」]
- 大人が男の子の発話 「(ぼくは)〇歳」 を想定し、その発話を引用する形で使われる。
- 女の子に同じ質問をする場合は、「お嬢さん」「お嬢ちゃん」などを使うことがある。
[「達」の使い方]
- 「達」は複数を表す。
- 「友達たち」は意味が重複するため、このような言い方はしない。
- 日本語では、友達が一人の場合でも複数の場合でも「友達」と表現する。