ビジネス日本語 – 敬語の基本②:基本文法と基本語彙

目次
1. 敬語の基本文法と基本語彙
2. 基本の文法
3. 特別な動詞①
4. 特別な動詞②
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q: 「食べる → 召し上がる」のように、基本の敬語の形に当てはまらない動詞は多いですか?
A: 尊敬語と謙譲語には、「お・ご~になる」「お・ご~する」の形だけでなく、動詞そのものが特別な形に変化するものもあります。しかし、その数はそれほど多くないため、練習を重ねて覚えましょう。
基本の文法
尊敬語とは、目上の人や話題の主の動作や状態を敬い、その人の行為を高めて表現する敬語です。
一方、謙譲語は、自分や身内の動作・状態をへりくだることで相手を立てる敬語です。
[尊敬語の例]
社長、コーヒーを召し上がりますか。
President, would you like to have some coffee?
⇒ 「召し上がる」は「飲む」の尊敬語であり、社長の行為を高めて表現しています。
[謙譲語の例]
おいしいコーヒーをいただきました。
I had some delicious coffee.
⇒ [いただく」は「飲む」「もらう」の謙譲語であり、話し手の行為をへりくだって表現しています。

尊敬語と謙譲語について
詳しく学びたい方は
こちらの記事をどうぞ。
では、基本の文法を確認しましょう。
[尊敬語:お・ご~になる]
「お・ご~になる」は、目上の人や相手の行為を高めるために使われる尊敬語の形です。
[ルール]
お+動詞語幹+になる
ご+漢語の動詞+になる(漢語=漢字を使った熟語の動詞)
[例]
部長は3時からお客様にお会いになります。
The manager will meet with the customer at 3 o’clock.
お客様がこちらのサービスをご利用になります。
The customer will use this service.
[謙譲語:お・ご~する]
「お・ご~する」は、自分や自分の所属する人の行為をへりくだって表現し、相手を立てるために使われる謙譲語の形です。
[ルール]
お+動詞語幹+する
ご+漢語の動詞+する(漢語=漢字を使った熟語の動詞)
[例]
資料をご用意いたしましたので、ご覧ください。
I have prepared the materials, so please take a look.
こちらのプランについて、ご説明いたします。
I will explain this plan to you.
特別な動詞①
次の動詞は尊敬語と謙譲語のどちらにも特別な形をもちます。
動詞 | 尊敬語 | 謙譲語 |
する | なさいます されます | いたします させていただきます |
いる | いらっしゃいます おいでになります | おります |
来る | いらっしゃいます おいでになります お越しになります お見えになります | 参ります 伺います |
行く | いらっしゃいます おいでになります | 参ります 伺います |
見る | ご覧になります | 拝見します |
言う | おっしゃいます | 申します 申し上げます |
知っている | ご存知です | 存じております 承知しております |
知らない | ご存知ではありません | 存じません 存じ上げません |
食べる・飲む | 召し上がります | いただきます |
あげる | くださいます | 差し上げます |
[例]
お客様、パンフレットをご覧になりますか。
Sir, would you like to take a look at the brochure?
⇒ お客様(目上の人)の行為を高めています。
御社のウェブサイトを拝見しました。
I had the honor of viewing your company’s website.
⇒ 話し手(自分)の行為を下げています。
特別な動詞②
これらの動詞は、謙譲語のみが特別な形をもちます。
動詞 | 尊敬語 | 謙譲語 |
座る | お掛けになります | 座らせていただきます |
聞く | お聞きになります | 伺います 拝聴します |
読む | お読みになります | 拝読します |
会う | お会いになります | お目にかかります |
分かる | お分かりになります | かしこまります 承知します |
もらう・受け取る | お受け取りになります | いただきます 頂戴します 賜ります 拝受します |
伝える | お伝えになります | 申し伝えます |
[例]
社長、こちらの椅子におかけください。
President, please have a seat here.
⇒ 「おかけになる」は「座る」の尊敬語であり、「おかけください」はその丁寧な依頼形です。
相手の行為を高め、敬意を示しています。
こちらに座らせていただいてもよろしいでしょうか。
May I have your permission to sit here?
⇒ 「座る」には特別な謙譲語はありませんが、「座らせていただく」は自分の行為に対して許可を得る際によく使われる表現です。
まとめ
- 敬語には「お・ご~になる」(尊敬語)と「お・ご~する」(謙譲語)の基本形があるが、一部の動詞は特別な形を持つ。
- 尊敬語・謙譲語の両方に特別な形がある動詞には、「する」「いる」「来る」「行く」「見る」「言う」などがある。
- 尊敬語のみに特別な形がある動詞には、「座る」「聞く」「読む」「会う」などがある。
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