ビジネス日本語 – 敬語の基本③ 美化語「お」と「ご」の使い分け

目次
1. 美化語「お」と「ご」の使い分け
2. 和語と漢語
3. 「お」と「ご」の使い分け
4. 「お」と「ご」の役割
5. 「お」と「ご」を使う決まった表現
6. まとめ
7. クイズ
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9. コメント
Q: 美化語「お」と「ご」の使い分けルールがあれば教えてください。
A:「お」と「ご」は和語か漢語かで使い分けます。この記事でそれぞれルールを見ていきましょう。
和語と漢語
日本語には「和語」と「漢語」というものがあります。
「和語」は訓読みの語(日本語の意味に当てはめた読み方)で、「漢語」は音読みの語(中国の発音の読み方)です。
[基本的な和語と漢語の見分け方]
和語(日本固有の言葉)
・訓読みが多い(例: 話、手紙)
・日常的な動作や自然な表現が多い(例: 走る、食べる、青い)
漢語(中国からの言葉)
・音読みが多い(例: 説明、意見)
・二字以上の熟語が多い(例: 出席、勉強、記入)
「お」と「ご」の使い分け
基本的に「お」は和語、「ご」は漢語に付けて使います。
また、自然現象、動植物、公共のものには「お」や「ご」を付けないため、注意が必要です。
和語(「お」を使う)
[例] 話・車・手紙・知らせ・金・断り・名前・仕事 など
漢語(「ご」を使う)
[例] 説明・注意・案内・意見・質問・出席・記入 など
ただし、例外として、次の言葉は漢語ですが「お」を使います。
[例] 電話・料理・勉強・洗濯・散歩 など
「お」と「ご」の役割
「お」と「ご」は、名詞・形容詞・動詞に付けて使うことができます。
い形容詞には「お」、な形容詞には「お」または「ご」が付きます。
ただし、すべての語に付くわけではなく、決まった表現や例外もあるため、実際の用法を覚えていくことが重要です。
また、「お」は尊敬語として、「ご」は謙譲語として使われることが多いですが、必ずしもこの区別に当てはまるわけではなく、状況によって異なる場合もあります。
[尊敬語・丁寧表現]
[例]
お名前は?
What is your name?
そちらへお伺いしてもよろしでしょうか。
May I come to see you?
社長はお優しい方です。
The president is a kind person.
お元気ですか。
How are you?
[謙譲語・丁寧表現]
[例]
ご連絡お待ちしております。
We are looking forward to your contact.
わたくしがご案内いたします。
I will show you the way.
ご親切にどうも。
Thank you for your kindness.
「お」と「ご」を使う決まった表現
「お」と「ご」を使う場合、それに続く語には決まった表現があります。
[尊敬表現]
お/ご+動詞の語幹+になります
お/ご+動詞の語幹+です
お/ご+動詞の語幹+ください など
[例]
社長がお帰りになります。
The president is leaving.
お客様がお待ちです。
The customer is waiting.
どうぞお入りください。
Please come in.
[謙譲表現]
お/ご+動詞の語幹+します/たいします/いたしましょうか
お/ご+動詞の語幹+申し上げます など
[例]
わたくしがご案内いたします。
I will show you the way.
こちらからご連絡いたしましょうか。
Shall we contact you from our side?
お願い申し上げます。
I sincerely ask for your favor.
ご説明申し上げます。
I will provide an explanation.
まとめ
- 基本的に「お」は和語、「ご」は漢語に付けて使う。ただし、自然現象、動植物、公共のものには付けないため注意が必要。
- 名詞・形容詞・動詞に使うことができるが、すべての語に使えるわけではない。
- 「お」は尊敬語、「ご」は謙譲語として使われることが多いが、必ずしもこの区別に当てはまるわけではない。
- 「お」と「ご」を使う場合、決まった表現がある。
クイズ
次の文では「お」または「ご」のどちらを使いますか。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. お
お母様はお元気ですか。
Is your mother doing well?
*相手に質問する場合、「お元気ですか」を使います。
A. お
今後ともよろしくお願い申し上げます。
I sincerely ask for your continued support.
*「願う」は和語なので「お」を使います。
A. お/ご
こちらにお名前をご記入ください。
Please write your name here.
*「名前」は和語なので「お」、「記入」は漢語なので「ご」を使います。
A. お
わたくしから(お・ご)電話いたします。
I will call you.
*「電話」は例外で「お」を使います。