JLPT N4文法 – 「助詞+は」の使い方

目次
1. 「助詞+は」の使い方
2. 「は」の基本的な役割
3. 助詞 +「は」
4. 「は」とつながる助詞
5. 比べてみよう
6. まとめ
7. クイズ
8. 関連記事
9. コメント
Q: 「バスでは電話してはいけません。」という文章を見ました。なぜ「バスで」はと言わないんですか?「で」と「では」の違いを教えてください。
A:「で・に・と」などの助詞と主題を表す「は」を一緒に使うことで、伝わり方に違いが表れます。
「は」の基本的な役割
①主題
「は」は主題を表す助詞で、範囲(対象)を限定し、それについて説明するために使います。
[例]
わたしは鈴木花子です。
I am Hanako Suzuki.
このおかしはおいしいです。
This snack is delicious.
②対比
そしてもう1つの役割は「対比」です。
2つ以上のものを並べて比較し、それぞれの違いを強調する際に使います。
[例]
パンは好きだけど、めんは好きじゃありません。
I like bread, but I don’t like noodles.
田中さんは来るけど、鈴木さんは来ないそうです。
It seems that Mr. Tanaka will come, but Mr. Suzuki will not.
今回は、これら2つの使い方のうち「対比」が重要なポイントになります。
助詞 +「は」
助詞に「は」がつくことで対比的な表現となります。そして「他とは違う」というような特別な意味合いが強調されます。
[例]
このスーパーには外国のおかしが売っています。
This supermarket sells foreign snacks.
⇒ 「このスーパー」を他のスーパーと区別して、ここ特有の特徴(外国のおかしが売られていること)を強調しています。
A「ここでは電話しないでください」
B「じゃあ、他の場所ではいいですか」
A: “Please don’t make phone calls here.”
B: “Then, is it okay in other places?”
⇒ Aの「ここ」では特定の場所を指し示し、その場所で電話が禁止されていることを強調しています。Bは「ここ」と他の場所を対比し、他の場所では可能かどうかを確認しています。
「は」とつながる助詞
「は」とつながる助詞は下記の通りです。
[に + は]
場所や対象、時間を特定して強調します。
[例]
ここにはありませんよ。
It’s not here.
8時には着くと思います。
I think I’ll arrive at 8 o’clock.
[で + は]
動作が行われる場所や手段を特定して強調します。
[例]
日本では家に入るときにくつを脱ぎます。
In Japan, people take off their shoes when entering a house.
ここでは飲食をしないでください。
Please do not eat or drink here.
[と + は]
一緒に行動する相手や物事の比較対象を指示し、相手や物事を強調します。
[例]
彼とは長い付き合いです。
I have known him for a long time.
このテレビはパソコンとは接続できません。
This TV cannot be connected to a computer.
[へ + は]
方向や目的地を特定して強調します。
[例]
東京へはもう行きません。
I won’t go to Tokyo anymore.
病院へは行きましたか?
Did you go to the hospital?
[の + は]
名詞化した動作や状態、または特定の物事を主題として強調する場合に使います。
[例]
勉強するのは楽しいです。
Studying is fun.
ジョンさんのはどれですか?
Which one is John’s?
[から + は]
出発点や起点を特定して強調します。
[例]
ここからは山が見えます。
You can see the mountains from here.
大阪からは2時間ほどかかります。
It takes about two hours from Osaka.
[まで + は]
範囲や終点を特定して強調します。
[例]
駅までは10分ほどです。
It’s about a 10-minute walk to the station.
30ページまでは読みました。
I read up to page 30.
[より + は]
比較を強調します。
[例]
今日は昨日よりは暖かいです。
It’s warmer today than it was yesterday.
田中さんよりは早く着きました。
I arrived earlier than Tanaka-san.
比べてみよう
次のような場合、ニュアンスの違いは何でしょうか。
[例]
バスで電話してはいけません。
VS
バスでは電話してはいけません。
「バスで」は単に場所を指し、電話が禁止される一般的な状況を指します。
それに対して「バスでは」は、バスの中という環境におけるルールを特に強調して伝えます。
もう1つ、チャレンジしてみましょう。次のような場合はどちらがふさわしいと思いますか。
[例]
図書館では静かにしてください。
VS
図書館で静かにしてください。
正解は「図書館では」です。
図書館は静かにすることがルールとして重要視される場所であるため、「では」を使うことでその特別な性質を強調しています。
一方、「図書館で静かにしてください」は、場所を示すにとどまり、ルールの強調が薄くなります。
まとめ
- 助詞 +「は」のとき、「は」は対比的な役割をする。
- 「は」とつながる助詞は「に・で・と・へ・の・から・まで・より」。
クイズ
次の文で適切な助詞を選びましょう。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. で
毎日、家で料理します。
I cook at home every day.
*「単純に動作が行われる場所を表しているので「で」が正解です。
A. では/では
家では音楽を聴きますが、外では聴ません。
I listen to music at home, but I don’t listen to it outside.
*家と外を対比しているので「では」が正解です。
A. で
よく公園で遊びます。
I often play in the park.
*「公園で」は動作が行われる場所を指しており、特に対比や強調が必要ないため「で」が適切です。
A. では
スマホは使わないようにしてください。特にこの部屋では使わないでくださいね。
Please avoid using your smartphone. Especially, don’t use it in this room.
*「特に」と言っているので「では」の方がその場所を強調するニュアンスが伝わります。
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