JLPT N4 文法 – 条件形「〜と」と「〜ば」の違い

目次
1. 条件形「〜と」と「〜ば」の違い
2. Aと、B
3. Aば、B
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「~と」・「~ば」はどちらも条件形だと習いましたが、違いがよくわかりません。
A: 「~と」は必然性、「~ば」は可能性や条件付きでの動作や状態を表します。それぞれ見ていきましょう。
Aと、B (JLPT N4)
[意味]
Aという条件が成立すると必然的にBが起こる
[ルール]
[V] 動詞辞書形・ない形+と
[A] い形容詞+と
[Na] な形容詞 な +だと
[N] 名詞+だと
[例]
夏になると暑くなります。
When summer comes, it gets hot.
雨が降らないと野菜や米が育ちません。
If it doesn’t rain, vegetables and rice won’t grow.
忙しいと昼ごはんを食べる時間もありません。
When I’m busy, I don’t even have time to eat lunch.
交通が不便だと遠くへ行けません。
If transportation is inconvenient, I can’t go far.
このゲームは難しいし子供だとできないと思います。
This game is difficult, and I think children wouldn’t be able to play it.
Aば、B (JLPT N4)
[意味]
Bが成立するためにはAが条件
[ルール]
[V] 動詞条件形
[A] い形容詞 い + ければ
[Na] な形容詞 な + なら(ば)
[N] 名詞 + なら(ば)
*「ない」は「なければ」になる
*「いい」は「よければ」になる
*「ならば」は文語的表現
[例]
これをよく読めばわかりますよ。
If you read this carefully, you’ll understand.
この薬を飲まなければ元気になりません。
If you don’t take this medicine, you won’t get better.
春になれば桜が咲きます。
If spring comes, the cherry blossoms will bloom.
大変なら手伝いますよ。
If it’s tough, I’ll help you.
比べてみよう
この2つはともに「条件」を表しますが、条件の種類によって使い方に違いがあります。
条件の種類 | 〜と | 〜ば |
---|---|---|
仮定条件 | ○ | × |
一般条件 | △ | ○ |
[仮定条件]
仮定条件とは、ある出来事が実際に起こるかどうか不確定な場合を表します。
[例]
お金がたくさんあれば旅行に行きたいです。
If I had a lot of money, I’d like to go on a trip.
⇒ お金があるという仮定をもとに願望を述べています。
A: この使い方、よくわからないな。
B: じゃあ、この本をよく読めばわかりますよ。
A: “I don’t really understand how to use this.”
B: “Then, if you read this book carefully, you’ll understand.”
⇒ Aが本を読むかどうかは不明なので、仮定を表しています。
[一般条件]
一般条件とは
一方の条件が成立すると、それによって必然的にもう一方の結果が生じる場合を指します。
[例]
夏になると暑くなります。
When summer comes, it gets hot.
⇒ 夏という条件が満たされると、必然的に暑くなるという結果が生じます。
春になるとあたたかくなります。
When spring comes, it gets warm.
春になればあたたかくなります。
If spring comes, it will get warm.
⇒ 「と」は必然性を強調し、「ば」は仮定的なニュアンスを含みます。
[「と」と「ば」の文末制限 ]
「〜と」も「〜ば」も、文末に「~しよう」「~してください」のような意思・勧誘・命令・依頼を表す表現は使えません。
ただし、「ば」の場合、「ある・いる・できる」を用いるとその制限がなくなります。
[例]
× 風邪をひくとこの薬を飲んでください。
× 風邪をひけばこの薬を飲んでください。
〇 風邪をひいたらこの薬を飲んでください。
If you catch a cold, please take this medicine.
⇒ 「たら」を使うと命令形を自然に表現できます。
× 時間があるとぜひこれを見てください。
〇 時間があればぜひこれを見てください。
If you have time, please take a look at this.
⇒ 「ば」を使う場合、「~ある・いる・できる」を伴う表現には制限がありません。
まとめ
[〜と]
- 一般条件を表し、必然的な結果を示す。
- 文末に「~しよう」「~してください」のような意思・勧誘・命令・依頼を表す表現は、条件の結果が確実でないため使用不可。
[〜ば]
- 仮定条件(実際に起こるかどうかわからない状況)を表す。
- 「ある・いる・できる」を用いることで、文末に「~しよう」「~してください」のような意思・勧誘・命令・依頼を表す表現が使えるようになる。
- 「ば」は柔軟性の高い条件形として使われる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. ば
もっと細ければこのドレスを着てみたいです。
If it were slimmer, I’d like to try on this dress.
*仮定条件なので「ば」が正解です。
A. ば
できれば早い時間に予約させてください。
If possible, please let me make an early reservation.
*「できる」を使った依頼の表現(させてください)なので「ば」が正解です。
A. と
雪が積もらないとスキーができません。
If snow doesn’t pile up, you can’t ski.
*動詞のない形と接続できるのは「と」です。
A. と
この国は冬になるととても寒くなります。
In this country, when winter comes, it gets very cold.
*動詞の辞書形と接続できるのは「と」です。