JLPT N5 語彙 – 「行く」と「来る」の使い方

目次
1. 「行く」と「来る」の使い方
2. “Come”と「行く」「来る」の違い
3. 行く
4. 来る
5. 比べてみよう
6. まとめ
7. クイズ
8. 関連記事
9. コメント
Q: 英語では “I’m coming” というのに日本語で「今来ます」ではなく「今行きます」と訳されていました。行くと来るの使い方にルールはありますか?
A: 英語と日本語では考え方が異なるからです。ここではそれと合わせて使い方も解説していきます。
“Come”と「行く」「来る」の違い
まずはそれぞれの基本的な意味を考えてみましょう。
どちらも場所の移動を表す動詞ですが、大きな違いは話し手の視点にあります。
[Come]
“Come” は話し手または聞き手(対象の相手)が存在していて、その相手と距離が近づく、またはその場所に向かう場合に使われます。
[日本語の「行く」と「来る」]
日本語では「行く」も「来る」も話し手を基準にして使われます。
行く (JLPT N5)
話し手や対象の相手が現在の居場所から離れ、移動することを表します。
[例]
明日はどこへ行こうかな。
I wonder where I should go tomorrow.
⇒ 話し手が今いる場所からどこかへ移動することを考えています。
明日から北海道へ行くんです。
I’m going to Hokkaido from tomorrow.
⇒ 話し手が目的地(北海道)へ向かうことをイメージして「行く」が使われます。
妹は12時ぐらいに病院へ行きました。
My younger sister went to the hospital around 12 o’clock.
⇒ 対象の相手(妹)が目的地に向かったことを話しています。
来る (JLPT N5)
対象の相手が話し手に近づくときに使われます。
[例]
今日、学校に有名な講師が来ました。
A famous lecturer came to the school today.
⇒ 有名な講師が話し手の近くに移動してきたことを表しています。
今日何時にわたしの家に来るの?
What time are you coming to my house today?
⇒ 対象の相手が話し手に近づくことをイメージして「来る」が使われます。
また、話し手または話し手と聞き手が特定の場所に戻る状況を前提として話す場合には「来る」が使われます。この場合、対象の相手との距離ではなく、話し手や聞き手にとっての基準となる場所がポイントとなります。
[例]
(現在、話し手がカフェにいる場合)
よくこのカフェに来ます。
I often come to this café.
⇒ 話し手が基準点としているカフェに訪れることを表しています。
(現在、話し手と聞き手がカフェにいる場合)
A「よくこのカフェに来るの?」
B「うん、よく来るよ。」
A: “Do you come to this café often?”
B: “Yeah, I come here a lot.”
⇒ AとBはカフェを基準点としており、そこに来る頻度について話しています。
比べてみよう
では次のような会話の場合、どちらが適切だと思いますか?
A「何時にうちに(① )の?」
B「そうだね。1時ぐらいに(② )よ。」
正解は①来る、②行く です。
A「何時にうちに来るの?」
B「そうだね。1時ぐらいに行くよ。」
A: “What time are you coming to my house?”
B: “Let’s see… I’ll come around 1 o’clock.”
ここでは、AはBが自分のほうへ近づくことをイメージしていますが、Bは今の居場所から離れ、Aさんの家に向かうことを考えています。
このように日本語では、どちらの動詞も話し手の視点で使い分けられます。
Bさんのように、聞き手が話し手になると視点が変わるため、その点に注意が必要です。
まとめ
- 「行く」と「来る」はどちらも話し手の視点で使い分ける。
- 「行く」は話し手や相手が現在いる場所から離れて移動する場合や目的地へ向かう場合に用いる。
- 「来る」は相手が話し手に近づく動きを表す。
- 話し手と相手が共有する特定の場所を基準にする場合にも「来る」が用いられる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 行きます
父は毎朝7時ぐらいに会社へ行きます。
My father goes to the office around 7 a.m. every morning.
*父が話し手のいる家から離れて会社へ向かうので「行きます」が正解です。
A. 来ました
友達がわたしの家に遊びに来ました。
My friend came to my house to hang out.
*友達が話し手のほうへ近づいているので「来ました」が正解です。
A. 来て/行く
ゆみ「ねえねえ、こっち来て。」
ジョン「今、行くよ。」
Yumi: “Hey, come here!”
John: “I’m coming!”
*ジョンさんがゆみさんのほうへ近づくので「来て」、ジョンさんが今いる居場所からゆみさんのほうへ移動するので「行く」が正解です。
A. 来たい
このレストランいいね。また来たいね。
This restaurant is great. Let’s come back again.
*話し手はレストランにいてそこが基準点なので「来たい」が正解です。