JLPT N2 語彙 – 「余裕」・「余分」・「余計」の違い

目次
1. 「余裕」・「余分」・「余計」の違い
2. 余裕
3. 余分
4. 余計
5. 比べてみよう
6. まとめ
7. クイズ
8. 関連記事
9. コメント
Q:「余裕」・「余分」・「余計」に違いはありますか?
A: これらはいずれも「余り」を表す言葉ですが、様子や状態によって適切に使う必要があります。
余裕 (JLPT N2)
[意味]
① あせらず落ち着いている様子や状態
② 余りがあること。または必要以上にある状態
[例]
今日はプレゼンがあるのに、鈴木さんは余裕がありそうですね。(①)
Even though there’s a presentation today, Mr. Suzuki seems to be quite composed.
出発の時間までまだ余裕があります。(②)
There’s still plenty of time before the departure.
余分 (JLPT N2)
[意味]
① 残ったもの、その部分
② 必要以上に多いこと・適切な分量を超えている状態
③ 必要以外のこと
[例]
いくつか余分が出ました。(①)
Some extras were left over.
塩を余分に加えてしまいました。(②)
I accidentally added extra salt.
余分なことは深く考えないほうがいいです。(③)
It’s better not to think too much about unnecessary things.
①の使い方では「余分が出る」という表現がよく使われます。例えば、予算や時間の計画よりも余った分を指す場合に使われることが多いです。
余計 (JLPT N2)
[意味]
① 数量が必要以上に多い状態
② 必要な範囲を超えた行動や物が、無駄であったり邪魔になること
③ ある状態がさらに増加し、影響が強まること
[例]
切符を余計に買ってしまいました。(①)
I ended up buying extra tickets.
励ますつもりが余計な一言を言ってしまいました。(②)
I intended to encourage them, but I ended up saying something unnecessary.
近道のはずが道に迷って余計に時間がかかりました。(③)
It was supposed to be a shortcut, but I got lost and it took extra time.
比べてみよう
[余裕]
精神的・時間的・空間的にゆとりがあるときに使われます。ポジティブな意味が強く、どのような場合でも落ち着いた状態を表します。
[例]
今日はプレゼンがあるのに、鈴木さんは余裕がありそうですね。(精神的)
Even though there’s a presentation today, Mr. Suzuki seems to be quite composed. (mental-related)
まだ出発の時間まで余裕があるから、お茶でもして待とうか。(時間的)
There’s still plenty of time before departure, so how about having some tea while we wait? (time-related)
このスペースに余裕があるから、棚でも置こうかな。(空間的)
There’s enough space here, so maybe we can put a shelf. (space-related)
[余分・余計]
この2つは似たような意味で「必要以上に多い状態」を表すとき、文脈によっては置き換えることができます。ただし、『余計』は否定的なニュアンスを含む場合が多いため、使用する際には注意が必要です。
[例]
ケーキを余分に買ってしまったから、明日のデザートにしよう。(肯定的:前向きな活用)
I ended up buying extra cakes, so let’s have them for tomorrow’s dessert. (positive: proactive utilization)
ケーキを余計に買ってしまったけど、誰も食べないだろうな。(否定的:不必要なものとしての捉え方)
I bought too many cakes, but I doubt anyone will eat them. (negative: seen as unnecessary)
⇒ いずれも「必要以上にある」ことを表し、どちらを使っても問題ありません。
[余計]
「余分」よりも「余計」のほうが、余ったものをさらに強調します。「余計」は、物だけでなく人の言動にも使われ、不必要で邪魔という意味を持ちます。また、相手に不快感を与えることが多く、ネガティブな印象で使われます。
[例]
ぼくが余計なことを言わなければ、彼女は泣かなかったでしょう。
If I hadn’t said something unnecessary, she wouldn’t have cried.
⇒ 必要以上の発言が、相手を不快にさせてしまいました。
親切な気持ちでしようとしたことが、余計なお世話だと言われて悲しかったです。
I felt sad when what I did out of kindness was called unnecessary meddling.
⇒ 話し手にとっては親切でした行動が、相手には不快なものと受け取られてしまいました。
では、次の例文では、どの言葉が適切でしょうか?
時間に(①余裕・余分・余計)がなかったから、タクシーに乗ったのに渋滞で(②余裕・余分・余計)に時間がかかりました。
正解:①「余裕」、②「余計」
時間に余裕がなかったから、タクシーに乗ったのに渋滞で余計に時間がかかりました。
I didn’t have much time, so I took a taxi, but the traffic jam ended up taking even more time.
①は「時間のゆとり」を意味します。
②は「ある状態が増した状態」を意味し、期待に反して時間がかかったことを表しています。
まとめ
[余裕]
- 精神的・時間的・物理的にゆとりがあり、落ち着いた状態を表す。
[余分]
- 必要以上に量が多いことを表す。
- 文脈により肯定的にも否定的にも使われる。
[余計]
- 必要以上に量が多いことを強調し、さらに否定的なニュアンスを持つ。
- 言動が不必要または邪魔で、相手に不快感を与えることを表す。
- ある状態が悪い方向に増したことを意味する。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 余計
余計なことを言って、母に怒られてしまいました。
I said something unnecessary and ended up being scolded by my mother.
*母を不快な気持ちにさせていることから「余計」が正解です。
A. 余分
余分に出たお金は、無駄遣いしないで貯金しよう。
Let’s save the extra money instead of wasting it.
*元々あったお金の余った部分を指しているので「余分」が正解です。また「出た」という動詞があるので「余分」が使われます。
A. 余裕
今日は忙しいのに、マネージャーは余裕がある様子です。
Even though today is busy, the manager seems to be at ease.
*マネージャーの落ち着いた様子を表しているので「余裕」が正解です。