「国字」って何?
目次
1. 「国字」って何?
2. 「国字」の意味
3. 漢字の始まり
4. どうして国字が必要になったのか
5. まとめ
6. 関連記事
7. コメント
Q: 日本語を勉強していて、中国語にはない漢字があると知りました。
「国字」と呼ぶのだと聞きましたが、どんな国字があるか知りたいです。
A:「国字」とは簡単に言うと「日本製の漢字」ですが、ここでは「国字」についてもう少し詳しく説明していきます。
「国字」の意味
① 国語を書き表すために使われる文字。 現代の日本語では、漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・算用数字などを指します。
② 漢字の読み方を示す「かな」。 ただし、この用法は現代ではほとんど使われていません。
③ 中国で作られた漢字を元に、日本で新たに作り出した文字。
現代では主に③の意味で使われています。
漢字の始まり
漢字の始まりは紀元前1300年の中国で発見されたと言われています。
実は、日本語には元々文字が存在していませんでした。しかし、6世紀ごろから中国の思想や宗教を取り入れ始めたことで、それに関する書物を読むために、漢文(漢字だけで書かれた文)を理解する能力が求められるようになりました。
やがて漢字は高貴な人たちの間で広がり、7世紀後半から8世紀後半には、日本で最古といわれる和歌集『万葉集』が漢字だけで書かれるまでになりました。
日本では、漢字の読み方には音読みと訓読みがあります。元の中国語の読み方を「音読み」、日本独自の読み方を「訓読み」といいます。日本では元々音読みしか使っていませんでしたが、同じ漢字でも時代や地域によって中国語の発音が異なりました。
そこで日本人は読み方を統一するために「訓読み」を作ったのです。この読み方が始まったのは10世紀ごろで、おおよそ14世紀ごろには定着したと言われています。
どうして国字が必要になったのか
日本には、中国から伝わったもの以外にも独自の漢字が存在します。
その理由は、日本独自の言葉や概念を表現する必要があったからです。
これらの国字は、主に生物や植物の名前に多く見られ、中国には存在していない漢字です。以下、その一部を紹介します。
① 魚の名前
国字 | 由来 |
---|---|
鱈(魚 + 雪) | 雪がよく降る地域でとれる魚だから。 |
鰆(魚 + 春) | 春に旬な魚だから。 |
② 植物の名前
国字 | 由来 |
---|---|
榊(木 + 神) | 神道で神に捧げる木だから。 |
椛(木 + 花) | 葉が花のように色づくから。 |
③ 風土
国字 | 由来 |
---|---|
峠(山 + 上 + 下) | 山道の上りと下りの分岐点。 |
凪(几 + 止) | 風が止まるから。(「几」は風を表す部首) |
また、中国と同じ漢字を使っていても、日本独特の言葉や意味を持つものがあります。以下はその例です。
日本語 | 中国語の意味 |
---|---|
丈夫 | 夫 |
読書 | 勉強 |
まとめ
- 「国字」とは、中国の漢字を元に日本で新たに作り出したもの。
- 日本独自の言葉や概念を表現するために必要になった。
- 中国語と同じ漢字でも、意味がまったく異なるものも多いため注意が必要。
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