「仕方ある」「申し訳ある」は存在しない?
目次
1. 「仕方ある」「申し訳ある」はある?
2. 仕方(が)ない
3. 申し訳ない
4. まとめ
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6. コメント
Q:「仕方ない」や「申し訳ない」のように、〜ないがつく表現は〜あるに変えることもできますか?
A:「仕方ある」も「申し訳ある」も存在しません。 「仕方ない」と「申し訳ない」は表現として定着していますが、これらの言葉は語源や意味に基づいて成り立っているため、自由に変えることはできないのです。
仕方(が)ない
[意味]
ほかに方法や手段がない
もう何もできずあることを諦めるさま
[例]
なんどやってもうまくいかない。しかたがない。あきらめよう。
No matter how many times I try, it doesn’t work. It can’t be helped. I’ll give up.
電車が遅れているのか。しかたない、今日はバスで行こう。
The train is delayed? It can’t be helped; I’ll take the bus today.
[「仕方ある」と言えるのか]
「仕方」とは「物事をする方法・やり方・手段」という意味です。つまり、「仕方ない」とは「手段や方法がない」ということです。この表現は、自分にとって良い状況ではないが、それを諦めて受け入れなければならないときに使われます。
では、「仕方ない」だから「仕方ある」と言えるのかというと、それは言えません。
「仕方ない」は表現として定着した言葉ですが、「仕方ある」は存在しません。
仮に「仕方ある」と言った場合、その言葉の通り「手段や方法がある」という意味になりますが、実際にはほとんど使われていません。その代わりに、「やり方がある」といった表現が一般的です。
申し訳ない
[意味]
言い訳のしようがない
弁解の余地がない
[例]
この度はご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
We sincerely apologize for the inconvenience caused this time.
遅刻してしまって申し訳ないです。
I apologize for being late.
[「申し訳ある」と言えるのか]
「申し」の元の動詞は「申す」で、「言う」という意味を持ちます。
そのため、「申し訳」は「言い訳」や「弁解」を指します。
「申し訳ない」という表現は、話し手が行った行動に対し、「言い訳や弁解ができないほど失礼なことをしてしまった」という謝罪の気持ちを伝えるものです。
そのため、「申し訳ある」と言うと、「言い訳や弁解ができるほど…」という意味になり、矛盾が生じます。このような表現は文法的にも自然ではなく、存在しません。
[例]
客:「この間、ここで買った商品が3日で壊れたんですが…」
店員:「申し訳ございません!一度確認させてください。」
Customer: “The product I bought here the other day broke after just three days…”
Clerk: “I deeply apologize! Please allow me to check it for you.”
⇒ お客様が買った商品がすぐに壊れたため、店員がお詫びの気持ちを心から伝えています。
まとめ
[仕方(が)ない]
- 好ましくない状況であっても諦めて受け入れざるを得ないときに使われる。「ない」の形で表現として定着しているため、「ある」という形は表現として存在しない。
[申し訳ない]
- 「言い訳や弁解できないほど失礼なことをした」という気持ちを表す表現であるため、「ある」に置き換えて使うことはできない。