JLPT N3語彙 「うっかり」と「つい」の違い
目次
1. 「うっかり」と「つい」の違い
2. うっかり
3. つい
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「うっかり」と「つい」の違いは何ですか?
A: どちらも不注意から起こった行動を表しますが、意味とニュアンスに少し違いがあります。
うっかり (JLPT N3)
[意味]
①不注意で
②気づかないうちに
[よく一緒に使われる動詞]
忘れる、言う、話す、落とす、する、乗り過ごす、倒す、壊す、寝る
[例]
彼女の誕生日をうっかり忘れていました。(①)
I accidentally forgot her birthday.
うっかり鍵を家に置いてきてしまい、入れなくなりました。(①)
I accidentally left my keys at home and couldn’t get in.
うっかり寝てしまっていました。(②)
Before I knew it, I had fallen asleep.
うっかりアレルギーのある食べ物を食べてしまいました。(②)
Without realizing it, I ate something I’m allergic to.
「うっかり」は不注意で起こった失敗や事故、気が付かないうちに起こったことを表します。
[例]
会議の時間をうっかり忘れていました。
I carelessly forgot the time of the meeting.
⇒ 会議の時間を不注意で忘れていたことを表しています。
降りる駅をうっかり乗り過ごしていました。
I didn’t realize it and ended up missing my stop.
⇒ 気が付かないうちに降りる駅が過ぎていたということです。
つい (JLPT N3)
[意味]
①無意識のうちに
②そのような気持ちはなかったのに~した
[よく一緒に使われる動詞]
言う、話す、食べる、買う、見る、使う、笑う
[例]
楽しくてつい時間を忘れていました。(①)
I was having so much fun that I lost track of time.
ダイエット中だけど、お菓子を見るとつい食べてしまいます。(①)
Even though I’m on a diet, I can’t help but eat sweets when I see them.
社長の真面目な話がおもしろくて、つい笑ってしまいました。(②)
The president’s serious talk was so amusing that I couldn’t help but laugh.
仕事でミスをしたとき、ついうそをついてしまいました。(②)
When I made a mistake at work, I ended up telling a lie without thinking.
「つい」は無意識のうちにしてしまうことや、するつもりがなかったのに思わずしてしまったことを表します。
[例]
このおかしがおいしくて、いつもつい食べすぎてしまいます。
This snack is so delicious that I always overeat without meaning to.
⇒ 無意識のうちにおかしを食べてしまうことを表しています。
笑ってはいけないと思っていたのに、つい笑ってしまいました。
I knew I shouldn’t laugh, but I couldn’t help myself and laughed.
⇒ 笑うつもりがなかったのに笑ってしまったということです。
比べてみよう
ではまずこの副詞があるかないかで違いを考えてみましょう。
「会議の時間を忘れていた。」より「会議の時間をうっかり忘れていた。」のほうが不注意や失敗の意味合いが強調されます。
「笑ってはいけないと思っていたのに、笑ってしまった。」より「笑ってはいけないと思っていたのに、つい笑ってしまった。」のほうが、笑うことをがまんしていた・笑うことはだめだと思っていたのにしてしまったことを含みます。
では次のような場合、ニュアンスの違いは何でしょうか。
[例]
うっかりひみつを話してしまいました。
I carelessly revealed the secret.
VS
ついひみつを話してしまいました。
I ended up revealing the secret without meaning to.
同じく「うっかり」は不注意で起こってしまったこと、「つい」は話すことががまんできなかった・だめだと思っていたのにしてしまったニュアンスがあります。
では次のような場合、どちらがよりふさわしいでしょうか。
[例]
おいしそうなにおいがするおかしをうっかり食べてしまった。
I carelessly ate the delicious-smelling snack.
VS
おいしそうなにおいがするおかしをつい食べてしまった。
I couldn’t resist and ended up eating the delicious-smelling snack.
この場合、目の前のお菓子の香りといった外部の要因により、我慢できずに食べてしまったことを表す「つい」のほうが自然です。
このように何か外発的な要因でがまんできなかったことを表すときには「つい」のほうがより自然な表現になります。
まとめ
[うっかり]
- 不注意で起こった失敗や事故、気が付かないうちに起こったことを表す。
- 不注意や失敗の意味を強調する。
[つい]
- 無意識のうちにしてしまうことや、するつもりがなかったのに思わずしてしまったことを表す。
- 外発的な要因のせいでがまんできなかったことを表すときにも使われる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. うっかり
うっかりスマホを落として画面が割れてしまいました。
I carelessly dropped my smartphone, and the screen cracked.
*不注意で起こったことなので「うっかり」が正解です。
A. うっかり
結婚記念日をうっかり忘れていて妻に怒られました。
I carelessly forgot our wedding anniversary and got in trouble with my wife.
*不注意で起こったこと、またその失敗を強調しているので「うっかり」がふさわしいです。
A. つい
つい話し過ぎて時間を忘れていました。
I got caught up in talking and lost track of time.
*気が付かないうちに(無意識のうちに)時間が経っていたので「つい」がふさわしいです。
A. つい
店員さんがほめてくれたのでついその服を買ってしまいました。
The store clerk complimented me, and I ended up buying the clothes.
*店員がほめたことが外発的要因になり買うことががまんできなかったので「つい」がふさわしいです。