JLPT N5語彙 「多い〇〇」はなぜだめ?
目次
1. 「多い+名詞」はなぜ間違い?
2. 多い
3. なぜ「多い+名詞」と言えないのか
4. 多く
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「多い+名詞」はなぜ間違いなんですか?
A:「多い」がもつ意味では本来の形容詞としての働きかけができないからです。
多い (JLPT N5)
[意味]
物の数や量がたくさんある
数量や度数が相対的に大きい
[例]
今日は人が多いね。
There are a lot of people today.
主人の給料よりわたしの給料のほうが多いです。
My salary is higher than my husband’s salary.
夏休みは旅行する人が多いです。
There are a lot of people traveling during summer vacation.
この店は客が多くていつもにぎやかです。
This store has a lot of customers and is always lively.
なぜ「多い+名詞」と言えないのか
「形容詞」は述語として使われるか、名詞を修飾してものの性質や特徴を詳しく説明する役割があります。
[例]
あの山はとてもきれいです。
That mountain is very beautiful.
⇒ 山の特徴が「きれい」ということです。
[例]
丈夫なくつを買いました。
I bought a durable pair of shoes.
⇒ くつの特徴が「丈夫」ということです。
ではどうして「多い」は名詞を修飾できないのでしょうか。
「きれい・丈夫」などの形容詞は名詞そのものの性質や特徴を表しますが、「多い」は「あるものの数」なので、名詞自体の特徴を述べているのではないのです。そのため、まず「数や量」が指すものを最初に言う必要があります。
[例]
ねこが多いです。
There are many cats.
⇒「ねこ」の性質や特徴が「多い」のではなく「その数が多い」ということです。
[例]
今月は給料が多くて嬉しいです。
I’m happy this month because my salary is higher.
多く
「多い」の名詞に「多く」があります。
「多い+名詞」は使えませんが「多くの+名詞」だと可能になります。ただし口語よりも文語でよく使われます。
[例]
多くの人が駅へ向かっている。
Many people are heading to the station.
⇒ 駅へ向かうたくさんの人を表しています。
多くを望まなければ人生は楽でしょう。
Life would be easier if you don’t desire too much.
⇒ たくさんのことを望まないということです。
まとめ
- 「多い」は他の形容詞とは違い性質や特徴ではなく「あるものの数」を指しているため「多い+名詞」で使うことができない。
- 「多く」は「多い」の名詞として使われ名詞を修飾するときには「の」が必要になる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. 多くの
多くの人がこのプロジェクトの完成を待っていた。
Many people were waiting for the completion of this project.
*後ろに名詞(人)があるので「多くの」が正解です。
A. 多い
渋谷は人が多いし疲れたよ。
Shibuya is crowded with people and it’s tiring.
*述語として使われているので「多い」が正解です。
A. 多くの
この歌手には多くのファンがいます。
This singer has many fans.
*後ろに名詞(ファン)があるので「多くの」が正解です。
A. 多い
このケーキ、とてもあまいですね。さとうが多いんじゃないですか。
This cake is very sweet. Isn’t there a lot of sugar in it?
*述語として使われているので「多い」が正解です。
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