JLPT N2・N3文法 「〜きっかけに」「〜契機に」の違い

目次
1. 「〜きっかけに」「〜契機に」の違い
2. AをきっかけにB
3. Aを契機にB
4. 比べてみよう
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q:「〜きっかけに」「〜契機に」は同じ意味ですか?
A: 「きっかけ」はあることを始めるようになった原因や動機を表します。
「契機」はあるものごとが始まったり変化が生じたりする直接の要素や原因をいうときに使われます。
2つともものごとの始まりとなるときに使われることばですが、少し意味合いに違いがありますので詳しく見てみましょう。
AをきっかけにB (JLPT N3)
[意味]
BをするようになったのはAがあったからだ
[ルール]
[N] 名詞+をきっかけに
[N] 名詞+がきっかけで
[例]
友達に誘われたのをきっかけに、ジムに行き始めました。
I started going to the gym after my friend took me there.
夫は結婚をきっかけに、ギャンブルを辞めました。
My husband quit gambling after we got married.
小さなけんかをきっかけに、友達と全然話さなくなりました。
After a small argument, my friend and I stopped talking completely.
留学したきっかけは何だったんですか。
What made you decide to study abroad?
*「きっかけ」は名詞としても使われます。
Aを契機にB (JLPT N2)
[意味]
Aをいい機会だと考えてBを始める
[ルール]
[N] 名詞+を契機に
[例]
この間の災害を契機に防災グッズを買いました。
I bought disaster prevention goods after the recent disaster.
夫は子供が生まれたのを契機に、たばこを辞めました。
My husband quit smoking after our child was born.
離婚を契機に仕事に戻ることにしました。
I decided to return to work after the divorce.
比べてみよう
「AをきっかけにB」は、日常に起こる偶然や小さなできごとから起こったAが、どうBを変化させたかを表します。続く後ろの事柄は肯定的でも否定的でもかまいません。
[例]
友達に誘われたのをきっかけに、ジムに行き始めました。
I started going to the gym after my friend took me there.
⇒ 友達に誘われたことが、ジムに行くようになったという変化を与えています。
またジムに行くという日常的なことなので「〜をきっかけに」がふさわしいです。
小さなけんかをきっかけに、友達と全然話さなくなりました。
After a small argument, my friend and I stopped talking completely.
⇒ 後ろには「全然話さなくなった」という否定的(残念な結果)が使われています。
それに比べると「Aを契機にB」はAをいい機会だと考えてBをするということを表します。
また内容として比較的重要なできごとや大きな変化の始まりを表すことが多いです。
その内容として「人がある行動を起こすのに意思を持って決断すること」「ビジネスの転換期を引き起こす原因となるもの」などが考えられます。そのため、文全体も硬くフォーマルな印象になります。
また後ろの事柄は肯定的な内容であることが多いです。
[例]
この間の災害を契機に防災グッズを買いました。
I bought disaster prevention goods after the recent disaster.
⇒ 災害をいい機会として防災グッズを買ったことを表しています。
また災害は大きなできごとなので「を契機に」のほうがふさわしくなります。
離婚を契機に仕事に戻ることにしました。
I decided to return to work after the divorce.
⇒ 話し手にとって離婚は仕事に戻ることを決めるいい機会であったことを表しています。
あることが日常的や偶然的、または日常的であっても話し手にとって、それが自分の人生を変えるような要因となったときには、どちらを使っても大きな違和感はありません。
[例]
◯ 子供が生まれたのをきっかけに、たばこを辞めました。
◯ 子供が生まれたのを契機に、たばこを辞めました。
I quit smoking after my child was born.
◯ ある日、見に行った舞台をきっかけに、演技に興味をもつようになり役者になりました。
◯ ある日、見に行った舞台を契機に、演技に興味をもつようになり役者になりました。
One day, after watching a stage performance, I became interested in acting and became an actor.
このように言い替えはできますが、いずれも1つ目の文は話し手にとって「日常的・偶然的なできごと」であるのに対し、2つ目は「大きな決断に至ったできごと」として表すのに適しています。
まとめ
AをきっかけにB
- 日常に起こる偶然や小さなできごとから起こったAで、Bにどのような変化があったかを表す。
- Bにくる事柄は肯定的でも否定的でもよい。
Aを契機にB
- Aというあるいい機会が大きな決心をもたらしたり、Bにいい変化を与えたりすることを表す。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. をきっかけに
あるアニメをきっかけに日本に興味をもつようになりました。
After watching an anime, I became interested in Japan.
*アニメを見るのは日常的なできごとなので「をきっかけに」がふさわしいです。
A. を契機に
地震を契機に多くの人が命の大切さを考えるようになりました。
Many people started thinking about the importance of life after the earthquake.
*「地震」という大きなできごとなので「を契機に」がふさわしいです。
A. を契機に
先日の国際会議を契機に世界はようやく平和について考え始めているようです。
The recent international conference has prompted the world to start considering peace.
*国際会議というビジネスの内容、また会議がいい機会にいい変化をもたらしているので「を契機に」がふさわしいです。
A. きっかけ
子供のときの事故がきっかけで足が悪くなってしまいました。
An accident during my childhood left me with a leg injury.
*後ろに残念なできごとをいっているので「きっかけ」が正解です。
*この「きっかけ」は名詞として使われています。
関連記事
先生から直接学ぶ
グループレッスンで先生から直接学び疑問を解消しましょう!