JLPT N1・N3文法「〜なり」と「〜とたん」の違い

目次
1. 「〜なり」と「〜とたん」の違い
2. 〜なり
3. 〜とたん
4. AなりB・AとたんB
5. 比べてみよう
6. まとめ
7. クイズ
8. 関連記事
9. コメント
Q:「〜なり」と「〜とたん」は置き換え可能ですか?
A: この二つはどちらも予期しない内容が続く場合に使われます。ネガティブなことを表し、肯定的な意味としては使われません。
文脈でどちらを使ってもいい場合と、そうでない場合がありますので詳しく見ていきましょう。
〜なり (JLPT N1)
[意味]
Aすると同時にBする
[ルール]
[V] 動詞辞書形+なり
[ポイント]
ある動作の直後に普通ではない予想外の行動をする
[例]
夫はわたしの顔を見るなり笑い出しました。
As soon as my husband saw my face, he started laughing.
男は店に入るなり店員に文句を言い始めました。
As soon as the man entered the store, he began complaining to the clerk.
〜とたん (JLPT N3)
[意味]
Aしたら、その瞬間にBが起こる
[ルール]
[V] 動詞た形+とたん
[ポイント]
ある動作の直後に予想外の出来事が起こる
[例]
子どもはお母さんが来たとたん走り出しました。
As soon as the child saw their mother, they started running.
家を出たとたん雨が降ってきました。
The moment I stepped out of the house, it started raining.
AなりB・AとたんB
基本的に「〜なり」の後ろには「行動」、「〜とたん」の後ろには「出来事」を表す文を使います。
[例]
子どもは家に帰るなりゲームばかりしています。
As soon as the child returns home, he plays video games nonstop.
⇒「ゲームする」という行動です。
家を出たとたん雨が降ってきました。
The moment I stepped out of the house, it started raining.
⇒「雨が降ってきた」という出来事です。
どちらも後ろの文に意思を表す文や命令文、否定文は使われません。
[例]
× 日本に着くなり、友達に電話するつもりです。
× 日本に着いたとたん、友達に電話するつもりです。
〇日本に着いたら、友達に電話するつもりです。
When I arrive in Japan, I plan to call my friend.
× ここに来るなり、連絡をください。
× ここに来たとたん、連絡をください。
〇ここに来たら、連絡をください。
When you get here, please contact me.
次のようにAとBの出来事が同時性も瞬時性も高いときは、どちらを使ってもさほど大きな違いは感じられません。
[例]
夫はわたしの顔を見るなり笑い出しました。
夫はわたしの顔を見たとたん笑い出しました。
As soon as my husband saw my face, he started laughing.
⇒ 「顔を見る」と「笑う」ことが瞬間的かほぼ同時に起きています。
「夫が笑い出した」ことは夫の行動もしくは出来事のどちらでも捉えられます。
男は店に入るなり店員に文句を言い始めました。
男は店に入ったとたん店員に文句を言い始めました。
As soon as the man entered the store, he began complaining to the clerk.
⇒ 「店に入る」と「文句を言い始める」ことが瞬間的かほぼ同時に起きています。
「文句を言う始めた」ことは男の行動もしくは出来事のどちらでも捉えられます。
比べてみよう
[AなりB]
「〜なり」のポイントは「同時性」ですが、1つ目の状態・状況(A)と2つ目の動き(B)が1)連続的もしくは2)持続的に起きます。
[例]
父は家に帰るなり、お風呂に入りに行きました。
As soon as he came home, my father went to take a bath.
⇒ 家に帰った状態で、次の行動「お風呂に入りに行く」ことに移ります。(連続的)
娘は家に帰ってくるなり、泣き出しました。
As soon as she came home, my daughter started crying.
⇒ 家に帰った状態で、泣く状態が続いています。(持続的)
[AとたんB]
①「〜とたん」のポイントは「瞬時性」なので「AするとすぐにBが起こる」という意味合いになります。
Bには「~てくる」や「〜てきた」のような変化を表す動詞が入ることが多いのが特徴です。
[例]
薬を飲んだとたん、眠くなってきました。
As soon as I took the medicine, I started feeling sleepy.
雨が止んだとたん、虹が出てきました。
As soon as the rain stopped, a rainbow appeared.
②「〜とたん」は「瞬時性」を表すため、次のように時間差が生じる場合には使えません。
[例] 父は家に帰ったとたん、お風呂に入りに行きました。
As soon as he came home, my father went to take a bath.
⇒「家に帰ること」と「お風呂に入りに行くこと」は瞬間的にも同時にもできません。
状態を継続したまま次の行動を表す「〜なり」がふさわしいです。
③「〜とたん」は話し手が主観的に感じている第三者のことを表すこともできます。
この場合はAとBの二つのことが瞬間的に起きていなくても使うことができます。
[例]
夫は結婚したとたん態度が冷たくなりました。
My husband’s attitude became cold as soon as we got married.
⇒ 態度が冷たいと感じているのは妻の主観的な気持ちです。
友達に正直な気持ちを話したとたんやさしくなりました。
My friend became kind as soon as I told them my honest feelings.
⇒ やさしいと感じているのは話し手の主観的な気持ちです。
まとめ
〜なり
- ある動作の直後に起きる予想外の行動を表す。
- 1つ目の動作が連続性または持続性した状態で2つ目のことが起きる。
〜とたん
- ある動作の直後に予想外の出来事が起こることを表す。
- 「~するとすぐ~する」という意味合いになり、後ろの文には変化を表す動詞がよく使われる。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. とたん
アイスクリームを食べたとたんお腹が痛くなりました。
As soon as I ate the ice cream, my stomach started hurting.
*アイスクリームを食べたあと「お腹が痛くなる」という出来事が起きているので「とたん」がふさわしいです。
A. とたん
パソコンを開けたとたん変な音が鳴りました。
As soon as I opened the laptop, it made a strange sound.
*パソコンを開けたあと「変な音」という出来事が起きているので「とたん」がふさわしいです。
A. なり
高橋君はいすに座るなり音楽を聞き始めました。
As soon as Takahashi sat down, he started listening to music.
*いすに座った状態で、次の行動に移っているので「なり」がふさわしいです。
A. なり
駅に着くなり道に迷ってしまいました。
As soon as I arrived at the station, I got lost.
*駅に着いて、道に迷っているいるのは「連続性」なので「なり」がふさわしいです。
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