JLPT N2・N3文法 「〜恐れがある」と「〜かねない」の違い

目次
1. 「〜恐れがある」と「〜かねない」の違い
2. 〜恐れがある
3. 〜かねない
4. 〜恐れがある VS 〜かねない
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「〜恐れがある」と「〜かねない」は同じ意味ですか?
A: 「〜恐れがある」と「〜かねない」は悪いことが起こる可能性が表し、どちらも聞き手に対して、ことの危険性や重大性を伝えることができます。
どちらを使うかはその可能性が主観的か客観的で使い分けが必要です。どちらも硬くフォーマルな表現です。
〜恐れがある (JLPT N3)
[意味]
〜という心配がある
[ルール]
[V]動詞辞書形+恐れがある
[N]名詞+の+恐れがある
[例]
[V] 1時間後に津波が来る恐れがあります。
There is a possibility that a tsunami will come in an hour.
[V] 大雨で川の水が増える恐れがあります。
There is a risk that the river’s water level will rise due to heavy rain.
[N] この古いビルは倒壊の恐れがあります。
There is a fear that this old building may collapse.
〜かねない (JLPT N2)
[意味]
(悪いことが起こる)かもしれない
[ルール]
[V] 動詞語幹+かねない
[例]
[V] お菓子ばかり食べていると病気になりかねません。
If you keep eating sweets, you might get sick.
[V] 木村さんはミスが多くていつか大きな問題を起こしかねないですね。
Mr. Kimura makes a lot of mistakes and might cause a big problem someday.
[V] そんなにスピードを出したら事故を起こしかねないよ。
Driving at such high speed could lead to an accident.
〜恐れがある VS 〜かねない
「〜恐れがある」はニュースや新聞などでよく使われ、専門家による発言やデータに基づいた客観的な可能性を伝えます。
一方で、「〜かねない」は話し手がある出来事の悪い結果を予想した主観的な可能性を伝えます。
そのため、次のような場合はどちらもふさわしいですがニュアンスが異なります。
[例]
これを食べすぎると病気になる恐れがあります。
If you eat too much of this, there is a fear that you might get sick.
⇒ データや分析などに基づいた可能性です。
これを食べすぎると病気になりかねません。
If you eat too much of this, you might get sick.
⇒ 話し手が予想した可能性です。
[恐れがある]
自然災害(津波や地震など)は話し手が予見することは不可能に近いため、ニュースなどで「〜恐れがある」を使って伝えられます。
[例]
再び地震が来る恐れがあります。
There is a fear that another earthquake might occur.
津波の恐れがあるので逃げてください。
There is a fear of a tsunami, so please evacuate.
自然災害以外にも客観的に見て危険性のある可能性はこのように伝えられます。
[例]
専門家によるとこのままでは人口が減る恐れがあるそうです。
According to experts, if things continue like this, the population might decrease.
たばこを吸い過ぎると病気になる恐れがあることがわかりました。
It has been found that smoking too much can lead to illness.
[〜かねない]
災害や事故で話し手が見て想像できることに関しては「〜かねない」を使うことができます。
[例]
火をつけたままにしておくと火事になりかねない。
If you leave the fire on, it could cause a fire.
そんな危ない運転をすると事故になりかねないですよ。
Driving so recklessly could lead to an accident.
フォーマルな表現でもあるのでビジネスの場でこのように使われることもあります。
[例]
このような説明だとお客様が誤解されかねないです。
This kind of explanation could lead to the customer’s misunderstanding.
⇒ お客様が誤解をする可能性があるということです。
この経営状態では会社の信用を失いかねません。
In this state of management, the company could lose its credibility.
⇒ 会社の信用がなくなる可能性があるということです。
まとめ
〜恐れがある
- 専門家やデータに基づき、客観的に考えて悪いことが起こる可能性を伝える。
- ニュースや新聞などでよく使われる。
- 自然災害(津波や地震など)が起こる可能性を伝えるときにも使う。
〜かねない
- 話し手が主観的に考えた悪い可能性を伝える。
- 災害や事故で話し手が見て想像できることに使う。
- ビジネスの場で使われることも多い。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. なりかねない
父はたばこばかり吸って病気になりかねない。
My father smokes so much that he might get sick.
*話し手が父親のことを主観的に考えているので「かねない」が正しいです。
A. の恐れがある
津波の恐れがあるので海に近づかないでください。
There is a fear of a tsunami, so please stay away from the sea.
*津波は自然災害なので「恐れがある」を使います。
A. 起こりかねない
このようなやり方では大きな問題が起こりかねない。
This method could lead to a big problem.
*話し手がやり方を見て想像しているので「かねない」がふさわしいです。
A. 暑くなる恐れがある
専門家によると今年の夏は非常に暑くなる恐れがあるそうです。
According to experts, there is a fear that this summer will be extremely hot.
*専門家が言っている情報なので、「恐れがある」が正解です。
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