JLPT N1・N2語彙「とりあえず」と「一応」の違い

目次
1. 「とりあえず」と「一応」の違い
2. とりあえず VS 一応
3. とりあえず
4. 一応
5. まとめ
6. クイズ
7. 関連記事
8. コメント
Q: 「とりあえず」と「一応」は言い換えができますか?
A: 言い換えができる 場合とそうではない場合があります。
「とりあえず」には2つ意味があります。
1つ目は「十分なことは後にして、今はまずあることをする」、2つ目は「将来のことは考えないで、今の状態だけを問題にする」です。
話し手が完璧な状態を気にしないで、仮の状態でやろうという気持ちも現れています。
「一応」の意味は「十分ではないけど、最低限の状態を満たしていること」や「ほとんどその状態で大丈夫」です。
なんだか似ているようで少し違いますね。
例文を見ながら考えていきましょう。
とりあえず VS 一応
次のような場合は、話し手の視点によるので、どちらもふさわしいです。
[例]
① とりあえず会議に出席しておこう。
For now, let’s attend the meeting.
② 一応会議に出席しておこう。
Let’s attend the meeting just in case.
① の場合は、将来のことは考えず「今」会議に出席するという意味です。
②の場合は、背景として話し手が会議に出ることが最低限の状態になっていることが考えられます。
とりあえず (JLPT N1)
では次に言い換えができないもので考えましょう。
これは日本人が日常的で使う会話例ですが、「一応」では言い換えができません。
[例 1] (レストランで)
A:ご注文はいかがされますか。
B:とりあえずビールで。
A: What would you like to order?
B: For now, a beer please.
⇒ 料理などの注文は後にして、「今」はまずビールを注文しています。
[例2] (会社で)
A:この企画でどうでしょうか。
B:とりあえずこれでやってみよう。
A: How about this plan?
B: Let’s try this for now.
⇒ 将来のことは考えないで、「今」の状態の企画でやってみようということを表しています。
一応 (JLPT N2)
では次は反対に「とりあえず」に言い換えができない例を見てみましょう。
[例 1]
A:この部屋、使えるのかな。
B:一応、先生に聞いてみようか。
A: I wonder if we can use this room.
B: Let’s ask the teacher just in case.
⇒ ここでは話し手が先生に何かしら許可をもらうことが「最低限の状態」になっているので「一応」が適切になります。
[例 2]
雨が降るかな、一応かさを持っていこう。
I wonder if it will rain. Let’s take an umbrella just in case.
⇒ 雨のために最低限の状態(かさを持つ)ことを表しています。
まとめ
とりあえず
- 視点が「今」中心です。
- 「十分なことは後で、今は簡単にする」・「将来のことは考えないで、今の状態だけを見る」ときに使う。
一応
- 「十分ではないが最低限の状態であれば大丈夫なこと」・「ある状態であれば大丈夫なこと」を表すときに使う。
クイズ
次の文を読んで、( )から文脈に合った表現を選んでください。
問題をクリックすると答えが表示されます。
A. とりあえず
みんなまだ来ていないけど、とりあえず会議を始めましょうか。
Everyone hasn’t arrived yet, but let’s start the meeting for now.
*「みんなが来る」という十分な状態をあとにして今の状態で会議を始めるので、「とりあえず」がふさわしいです。
A. 一応
一応来る前に連絡してください。家にいるようにしますから。
Please contact me before you come, just in case. I’ll make sure to be home.
*家にいるための状態にするため「連絡をもらう」ことをいっていますから、「一応」がふさわしいです。
A. とりあえず
あれ、塩がないな。とりあえず今は塩なしで料理しよう。
Oh, there’s no salt. For now, let’s cook without it.
*塩があることが十分な状態ですが、今の状態(塩なし)で料理をするので「とりあえず」がふさわしいです。
A. 一応
一応社長の許可はもらえたし、この計画を進めていこう。
We have the president’s approval for now, so let’s proceed with this plan.
*社長の許可が計画を進めるための最低限の状態なので「一応」がふさわしいです。
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